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  • 映画『世界から猫が消えたなら』 猫が死ぬ話ではありません、僕が死にます

    映画『世界から猫が消えたなら』 猫が死ぬ話ではありません、僕が死にます

    映画『世界から猫が消えたなら』

    世界から猫が消えたなら

    世界は愛であふれてた。
    ラブストーリーが終わる。

    世界から猫が消えたなら — Amazonで見る

    暗い話が嫌いな人は見ないほうが良いです、生きる理由が知りたければ是非!

    猫が死んで悲しいお話とか、佐藤健くんと宮崎あおいちゃんのラヴ・ストーリーではありません。
    原作が100万部を突破したベストセラー「せか猫」ですが内容を知らずに見ました。

    でも良い意味で裏切られて好きな作品でした、でもきっとこんな暗い話、嫌いな人は見ないほうが良いとも思います、なぜなら主人公=僕が死ぬ話だからです。

    予告や宣伝は「泣けるラヴ・ストーリー」です、それを期待すると少し外すかも。
    でも違う意味で泣けた映画でした、今年一番泣いたかも(まだ半年も経っていないけど)。

    今年、1,2くらいに好きな作品でした、見終わった後に「自分が生きていることに意味がある」と思えるから。

    世界から猫が消えたなら

    詳細情報はこちら・・・
    東宝で映画『悪人』、『告白』をプロデュースした若手天才プロデューサー・川村元気さんの原作小説を映画化。
    2013年に本屋大賞にノミネートされ、その後、文庫化・コミックス化、そして中国・韓国・台湾で出版もされて累計100万部を突破。

    「僕」と「悪魔」の二役に挑むのは、佐藤健。そのかつての恋人に宮崎あおい。
    映画マニアの親友を濱田岳、疎遠になった父を奥田瑛二、死別した母を原田美枝子。
    監督は数々のCMで広告賞を受賞し、映画デビュー作『ジャッジ!』が予想外(笑)に面白かった永井聡監督、今回はテイストが真逆でビックリ!
    撮影に中島哲也監督作品で手腕をふるう阿藤正一。
    脚本はベテランの岡田惠和に、音楽は小林武史と鉄板です、東宝最強トライアングル?(笑)

    私的『世界から猫が消えたなら』 ここからはぶっちゃけ・ネタバレ!

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    二人の僕が出てくる、それはファウストに代表される悪魔との契約で希望を叶える、と言うものをモチーフにしている、大切なモノを渡せば1日の生命を与えると。
    物語はその流れで進むが、実は主人公の数日の妄想なのでは?と見終わった後に感じた。
    自分が死を覚悟するまでの心の葛藤が、「僕」と「悪魔」と言う形で表現されている。
    そして、自分の所有する大切なモノを失うことで、実は自分がこの世の中でどれだけ必要とされていたかを知る。

    自分の大切なモノを振り返ることで、自分の人生がどれたけ意味のあるものだったかを納得することで、自分の死を受け入れる。

    自分が死んでも、友人や元恋人、そして親も自分のことを忘れることはないと・・・

    世界から猫が消えたなら

    ② 作り手の強い意思を感じるか?

    原作者であり、東宝の映画プロデューサーでもある川村元気さんが書いた小説、話が綺麗過ぎる、映像を意識した描写とかも、そしてなんと言ってもタイトル自体が「ウケ狙い」を感じる。

    でも川村元気さんが他の著作でも書いていたが「躁鬱状態の鬱の時に良い物語を思いつく」と言うように明らかに鬱状態のお話。
    死ぬって遠い話だけど、一旦、目の前に死が迫った時に人は何を思うのか?そんな暗い話を真剣に物語にしている、そして追及している点が面白い。

    ③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    佐藤健くんが淡々と演じてる気がして、本当は死を宣告された時に逃げるために、もう一人の自分を妄想して死から現実逃避している。

    この作品、佐藤健くんが主演じゃなかったら誰も見ないだろうなぁ~と正直なところ、それくらい地味な物語だし、本もタイトルが違ったら100万部も売れなかったと思う。
    宮崎あおいちゃんがイグアスの滝の前で叫ぶシーンがあるが、絶対、二人の熱愛映画に思えてしまう、そこが宣伝の狙いかもしれないけど。
    友人役の濱田岳、両親役の奥田瑛二・原田美枝子が良い味を出している。

    ④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    小説の段階から映像化を前提に書かれてる、と言う気がする。
    予告にある自転車が宙返りするシーンとかが原作に有るのかは知らないけど、一瞬にしてモノが消えていくシーンとか、地味な物語になるところを工夫しているところ見受けられる。
    なので、映像的にも楽しいのだけど、一方で計算づくと言う感じもする。

    ⑤ エンターテイメント性

    万人向けではないと思う。
    でも、佐藤健と言う超?イケメン俳優と、エンターテイメント系に強い永井聡監督を起用して演出させている。
    函館の街の見せ方とかは良かったと思う、映画祭に行ってたみいなぁ~

    ⑥ 演出が素晴らしいか?

    難しい演出だったと思う、地味で暗い話を抑えた美しい映像で描きながら、抑揚を感じさせてくれた。
    永井聡監督のファンタジー的な演出が、作品に希望を感じさせてくれる隠し味になっていた。

    世界から猫が消えたなら

    ⑦ 脚本が素晴らしいか?

    個人的には、グッと来るシーンが沢山あって、泣けるシーンがいくつか有った。
    それは原作の良さなのか、脚本としての妙味なのか、ちょっと判らないけど。
    元気に生きている観客側が、余命短い主人公に少しずつ共感していけるのは、自分の大切なものを失った時の主人公の悲しみが小物で伝わってくる、これは奥田惠和さんの脚本の上手さ。

    ⑧何度も見たくなるか?

    人によっては宝物のような作品、万人には薦めないけど、人生に迷った時に見たい作品。

    大切なモノを捨てていくことによって、本当に大切なモノは自分自身だと気づかせてくれる。
    そして、何よりも自分がこの世の中で必要なものだと気づかせてくれる、自分は愛させていると感じることができることは大切だから。
    だから、時々見たい・・・そんな作品。

    映画『世界から猫が消えたなら』のデータ

    【キャスト・スタッフ】
    佐藤健 ※宮崎あおい 濱田岳 奥野瑛太 石井杏奈 奥田瑛二 原田美枝子

    ※宮崎あおいさんの「崎」は正しい文字が環境により表示できないため、「崎」を代用文字としています。

    原作:川村元気「世界から猫が消えたなら」
    監督:永井 聡
    脚本:岡田惠和
    音楽:小林武史

    公開日■2016年5月14日
    公開情報■全国東宝系にてロードショー

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    【ストーリー】
    これは、余命わずかな僕に起きた、やさしい「愛」の物語。

    余命わずかの30歳郵便配達員の前に、自分と同じ姿をした悪魔が現れた。
    世界から電話、映画、時計、そして、猫が消える…?
    もしも、大切なものを一つ消すこととひきかえに、一日の命をもらえるとしたら。

    もし僕が「余命わずか」と宣告されたなら・・・
    僕は30歳の郵便配達員。愛猫・キャベツと一緒にふたりぐらし。ある日の午後。あまりにひどい頭痛がするので病院にいってみたら、脳に腫瘍ができて、余命わずかと宣告されてしまった。l

    そんな僕の目の前に「悪魔」が現れたなら・・・
    僕が、もうすぐ死ぬ?そんなこと簡単に受け入れられるはずがない。ショックで呆然とする僕の前に、ひとりの男が現れた。その男は、なんと僕だった。いや、違う。僕と同じ姿形をした(僕より指がちょっとだけ長い)悪魔だ。うろたえる僕に悪魔がささやいた。「世界からものを一つ消せば、一日の命をあげる」。ただし消すものは、僕にとって大切なものじゃなきゃダメらしい・・・
    (C)2016 映画『世界から猫が消えたなら』製作委員会

  • 映画『君の名は。』  オッサンでも感動できる青春映画の傑作登場!

    映画『君の名は。』 オッサンでも感動できる青春映画の傑作登場!

    映画『君の名は。』  your name.

    君の名は。

    まだ会ったことのない君を、探している

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    予想外の展開が待っている!これから映画を観る人へ

    新海誠監督+川村元気プロデューサー(企画・プロデュース)作品。
    決して新海誠ファンではないけど凄かった!

    もちろん日本映画は沢山見るし、ジブリ作品も見る、50のオッサンだからヤマトやガンダム、999を通過した世代、アニメ大好き世代でもあるけど、単なるラヴコメ・アニメを見たいとも思わない。

    それらを全部、見事に良い意味で予想を裏切ってくれる作品。

    『秒速5センチメートル』(07年)、『言の葉の庭』(13年)など意欲的な作品を数多く作り出してきた気鋭のアニメーション映画監督・新海誠、と言う前説はあるものの、私は見たこともなかった。
    世界的に既に有名なアニメーター(演出家?)で、精密な風景描写や色彩の豊かさも評判になってるのは知ってるくらい。
    夢の中で、少年少女が入れ替わる、と言うどこかで聞いたことの有るような話。
    まぁ~ハッキリ言ってオジサン世代にとっては大林宣彦監督の『転校生』へのオマージュを感じずにはいられないし、途中でどこかで『時をかける少女』になるのでは?とも想像してしまう。

    印刷用_君の名は。_サブ01【7月5日差替】

    この作品、映画館で見る、と言う価値がある美しい映像が広がる、日本のアニメーションの品質の高さとも言えるけど、この映画は単なるラヴコメではない壮大な物語を展開していく、それにふさわしい映像が展開されていく。
    そして・・・
    予告に流れるお話はほんの序章に過ぎず『時をかける少女』への展開も想像できるけど、そこからが予想外の展開が待っている!

    高校生の心情が見事に描かれていて、そこは友情だったり、先輩への淡い想いだったり・・・
    そこから青春の1ページに収まらない物語が展開していく。
    若い人たちには、きっと壮大なSFチックな恋愛青春映画に映るんだと思う。
    でも、オッサンにしてみると「そう青春ってこういうもんだった」と思い返しながら、それは続いていつかまた青春に出会うのかも?と思わせてくれる、そんな不思議な青春映画になっている。

    この夏!(もう残暑だけど)絶対見たほうが良い青春映画、いや若者だけじゃなくて、どんな年代でも人との出会いの大切さを感じることができる作品!

    ちなみに宣伝的に、詳しい情報を書いとくと・・・
    作画監督を務めるのは『千と千尋の神隠し』(01年)など数多くのスタジオジブリ作品を手掛けた、アニメーション界のレジェンド・安藤雅司。
    また『心が叫びたがってるんだ。』(15年)などで新時代を代表するアニメーターとなった田中将賀をキャラクターデザインに迎えるなど、日本最高峰のスタッフがスタジオに集結。
    あっ、田中将賀さんのファンも多いらしい。
    そして主題歌を含む音楽は、その唯一無二の世界観と旋律で熱狂的な支持を集めるロックバンド・RADWIMPSが担当する。

    夏休みの劇場は、高校生・学生であふれかえっていた。

    君の名は。

    私的『君の名は。』 ここからは思いっきりネタバレ!要注意!!

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    ここからはネタバレで行くので、見てない人は見てから読んでください。

    「運命の出会い」=赤い糸を、さかのぼって物語にするとこうなるんだろう、と言う想像からできた気がする。
    だからラスト・シーンの「君の名前は?」に運命を感じるんだと思う。

    そう観客の一人ひとりの運命の出会いの裏側には実は壮大な物語があるのかもしれない。
    それくらい人との出会いって意味があって、意義のあるものと言うのを感じさせてくれる。

    だから歳を取っても、運命の出会いはあるかもしれないし、逆に歳を取っている分、もっと壮大なストーリーが人との出会いにはあるのかもしれない、と思いたい、そう思える作品。

    ② 作り手の強い意思を感じるか?

    企画・プロデュースの川村元気Pは「世界から猫が消えたなら」の原作者でも有り、この物語が新海誠監督主導だったのか、どうなのか興味深いところ。
    後半は怒涛の展開なんだけどディテールが丁寧で、赤い糸の使い方が上手い!

    アラフォー世代が作ってる作品だけど、未だ青春ど真ん中だと思って生きてる人たちの熱意を感じまくった!

    ③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    今回はアニメなので、さてどう表現したらよいのかなぁ~
    神木隆之介はアニメも沢山やってるから、この手の役は上手い。
    むしろキャラクターデザイン的なところなんだと思うけど、CGではない日本のアニメの良さを感じる。

    あっ、でもこの手のアニメってなんで日本でしか描けないのかな?

    ④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    冒頭の数分間は、30分のTVアニメのような始まり方でちょっと焦った。
    何か狙いが有ったのかな?
    逆にその後の映像とかは、ジブリや細田守監督のような広大な世界が広かっていく。

    そして、なんと言っても映像が美しい!
    これは実写じゃできないよなぁ~と思いつつ。

    ⑤ エンターテイメント性

    青春映画であり、恋愛映画でもあるし、でも若者向けだけでもない。
    身体が入れ替わる話から、タイムパラドックスの話に展開していきながら、実は運命の出会いって、自分の忘れた過去の繋がりから来てる、って思わせる展開、ラストのタイトルを見て「君の名前は?」と本当につぶやきたくなる瞬間、うわーっと来てジーンと来るこの展開には脱帽。

    ⑥ 演出が素晴らしいか?

    映像が心情を表す、この辺が素晴らしい。
    後半をたたみ掛ける展開になるが、前半の丁寧な作りが聞いてくる。
    でも、やっぱりアニメじゃないとできない演出だよね、いつかこれを実写でできる時代が日本にも来るのかな?(興行的に考えたらアニメが良いに決まってるけど)

    君の名は。

    ⑦ 脚本が素晴らしいか?

    主人公の男の子とバイト先の先輩の素敵な女性との会話とか、細かいところの脚本が丁寧で好き!
    もちろん、女の子が朝になるとおっぱいを揉むところとかも・・・
    あとは、主人公の女の子の髪型が変わる理由が後で判るところとも。

    でも、途中から一切予想外の展開、ラストの「運命」を感じさせてくれる展開は凄かった。

    ⑧何度も見たくなるか?

    いつまでも青春でありたい!と願う若い人、オジサンやあらゆる世代の人、どの年代でも見れるし、だからこそ見たい映画。
    既にカップルの人たちも、記憶にないこんな凄い出会うまでのストーリーがあるのかも?と思わせる。

    また、観ようっと(笑)

    新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド — Amazonで見る

    映画『君の名は。』のデータ

    【声の出演・スタッフ】
    神木隆之介 上白石萌音 
    成田凌 悠木碧 ※島崎信長 石川界人 谷花音
    長澤まさみ 市原悦子

    ※島崎信長さんの「崎」は正しい文字が環境により表示できないため、「崎」を代用文字としています。

    監督・脚本:新海誠
    作画監督:安藤雅司
    キャラクターデザイン:田中将賀
    音楽:RADWIMPS

    2016年8月26日 全国東宝系にてロードショー

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    【ストーリー】
    千年ぶりとなる彗星の来訪を一か月後に控えた日本。
    山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。
    町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。
    小さく狭い町で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会への憧れを強くするばかり。
    「来世は東京のイケメン男子にしてくださ―――い!!!」
    そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。
    見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。
    念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。
    一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も、奇妙な夢を見た。
    行ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。
    繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。
    二人は気付く。
    「私/俺たち、入れ替わってる!?」
    いく度も入れ替わる身体とその生活に戸惑いながらも、現実を少しずつ受け止める瀧と三葉。
    残されたお互いのメモを通して、時にケンカし、時に相手の人生を楽しみながら、状況を乗り切っていく。
    しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。
    入れ替わりながら、同時に自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行こうと決心する。
    「まだ会ったことのない君を、これから俺は探しに行く。」
    辿り着いた先には、意外な真実が待ち受けていた……。

    出会うことのない二人の出逢い。運命の歯車が、いま動き出す

    (C)2016「君の名は。」製作委員会


  • 映画『日本のいちばん長い日』 終戦記念日に思うこと

    映画『日本のいちばん長い日』 終戦記念日に思うこと

    映画『日本のいちばん長い日』 THE EMPEROR IN AUGUST

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    永遠の戦後のために

    2016年8月8日に天皇陛下が「象徴としてのお務めについての天皇陛下お言葉」を発せられました。(映像とお言葉があります)
    そして71回目の終戦記念日を迎えました。

    昨年は戦後70年と言うことで今作品が公開されたり、NHKザ・プレミアム戦後70年ドキュメンタリー・ドラマ「玉音放送を作った男たち」が放送されました。
    日本の玉音放送に関しては、NHKの戦時録音資料として「昭和天皇、終戦の玉音放送」として聞けます。(お言葉があります)

    何故、冒頭に生前退位のことを書いたか・・・
    今の日本は無宗教と言う人がほとんどで、正月にはお宮参り(神道)をして葬式にはお坊さんを呼ぶ(仏教)と言うことが日常にある。
    おそらく日本にとっては天皇の存在こそが宗教だったのでは?と考えている。
    もちろん大東亜戦争が終わるまでは天皇は“神”だったわけなので。
    昭和天皇は、終戦直後、マッカーサー元帥と十数回に渡って会談をして、その後の日本の方向を決めたと言う事実を知ると、戦後70年が経って改めて昭和天皇について知ることは重要なこと、天皇制について考える必要性を思う。
    人としての天皇、象徴としての天皇なら、退位と言うことも当然考えるべきとは思う。

    the-emperor-in-august02

    昭和と平成

    戦後20年が経って描かれた岡本喜八監督版は作り手は戦中派である、この作品に対して矜持を持って挑んだと思う。
    それは俳優の演技からも伝わってくる、岡本喜八監督が過度なまでに求めたものだと思う。
    あの戦争は何だったのか?そして止めることが何を意味したのか、神としての天皇を知る世代が国体とは何だったのか?それを描くことに昭和40年代には必然が有った。

    一方、戦後70年経って描かれた原田眞人監督版は監督を含め作りては戦後派である、見ている私も戦争を体験したことのない世代。
    だからこそ、岡本喜八監督版のような戦争を生きた人々の群像劇ではなく、昭和天皇、阿南陸軍大臣と鈴木貫太郎首相の三人を中心に物語を進めている。
    おそらく国体維持と言う実感の有る世代とない世代の違いではないかと思う。

    2006年にはロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督が『太陽』で、2012年にはアメリカのピーター・ウェーバー監督が『終戦のエンペラー』で昭和天皇を描いている。
    そして岡本喜八監督版では後ろ姿とお言葉だけでしか描かれなかった昭和天皇が、原田眞人監督版では、本木雅弘演じる昭和天皇が積極的に終戦へ向けて意志を示している。
    実際の皇室の研究をしている訳ではないので、本当のところは知らないが、戦後のマッカーサー元帥との会談の多さから考えて、終戦に対して昭和天皇がハッキリとした意志を示されたことは想像に難くない。

    the-emperor-in-august03

    日本は敗戦から目を逸らしてはいけない、それは70年以上経った今でも、決して自虐的歴史観とは思わない。
    戦争に負けると言うことは20世紀以前においては、敗者は虐殺か自殺で終わるもの。
    天皇を殺させないためにポツダム宣言受諾した訳で、東京裁判もあった訳で、それを否定したら天皇制の存続も否定することになるのではないのかな?と思うのだが。
    昭和天皇も、今上天皇も、この点はちゃんとした歴史認識を持たれていて、靖国参拝などということは行わない。
    それは『永遠の0』にも書いた「重たいジレンマ」が有り、日本国民全体が背負っていくものだと思う。
    岡本喜八監督版では、反戦映画として体験としての終戦を描いた点で優れたものを感じ、一方で原田眞人監督版では玉音放送と共に生き残った日本人が重い十字架を背負っていくことの覚悟を感じることができた点で、平成にこの作品を作ったことの意味を感じた。

    そして今上天皇の生前退位へのお言葉は、象徴天皇としての戦後、昭和天皇から引き続いて背負い続けているものの重さを感じずにはいられない。
    365日24時間、天皇でいることを求められる、日本で最も有名な?公人でいることを求められる大変さを考えると、その荷を早く引き継ぐことも必要なのではないか?と思うのは変だろうか。

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    2016年5月27日午後6時6分、アメリカ・オバマ大統領が広島でスピーチをしました。

    オバマ大統領が広島で演説

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    広島は「謝罪を求めない」ことで実現したアメリカの大統領の被爆地・広島訪問。
    戦争に負けた日本が戦勝国に謝罪を求めること自体が、自分たちの背負う責任を放棄することになる訳で、その一線を超えなかったことで、今回の歴史的訪問が実現した。
    今年は、戦後の一つの区切りになるのかもしれない、現在の日本国憲法がどちらの方に向かっていくのか、日本はどこに向かうのか?
    『シン・ゴジラ』にも有った既に機能しない日本の政治と官僚制度、それと共に沈んでいく国・日本、果たして日本がゴジラと言う国難に対して一致団結して叡智を尽くして乗り切ったように、日本は未来に向って新たに向かっていくのだろうか?

    改めて終戦に向けて、この日に何が有ったのか?それを知ることは今の日本を理解する上で必要なことだと思う。

    映画『日本のいちばん長い日』のデータ

    1967年版

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    上映時間■157分
    製作国■日本
    公開情報■劇場公開(東宝)
    初公開年月■1967/08/03
    監督■岡本喜八
    原作■大宅壮一「日本のいちばん長い日」
    脚本■橋本忍
    ナレーション■仲代達矢
    出演■宮口精二(東郷外相)/戸浦六宏(松本外務次官)/笠智衆(鈴木総理)/山村聡 (米内海相)/三船敏郎(阿南陸相)/志村喬(下村情報局総裁)/黒沢年男(畑中少佐)/松本幸四郎(今上天皇)

    2015年版

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    降伏か、本土決戦か――。
    その決断に、
    すべての希望は託された

    上映時間■136分
    製作国■日本
    公開情報■劇場公開(松竹=アスミック・エース)
    初公開年月■2015/08/08
    監督■原田眞人
    原作■半藤一利「日本のいちばん長い日 決定版」(文春文庫刊)
    脚本■原田眞人
    出演■役所広司(阿南惟幾)/本木雅弘(昭和天皇)/松坂桃李(畑中健二)/堤真一(迫水久常)/山崎努(鈴木貫太郎)

    オフィシャルサイトはこちら

  • 映画『永遠の0』 ジレンマを背負った大ヒット反戦映画

    映画『永遠の0』 ジレンマを背負った大ヒット反戦映画

    映画『永遠の0』

    eienno-zero

    この空に願う、未来――壮大な愛の物語。

    大人気作家の意図とは別に、感動的な反戦映画

    宮崎駿監督が『風立ちぬ』を公開した後の雑誌のインタビューに
    「今、零戦の映画企画があるらしいけど、それは嘘八百を書いた架空戦記をもとにして、零戦の夢物語をつくろうとしてるんです」
    と答えています、時期的に『永遠の0』の事を指しているのかな?と思ったりもして。
    でも、宮崎駿監督に聞いてみたい、『風立ちぬ』とこの作品の立ち位置は違うのですか?と。
    私には一緒に見えました。
    この作品を見て改めて思ったのは、第二次世界大戦以前の日本人の中には、死と言うのもが身近に有って、常に「死の覚悟」を持って生きていた。
    それが時として人を凛と見せていたのかも、と。
    例えば「坂の上の雲」の秋山真之だったり。
    この作品も『風立ちぬ』も死を身近に感じることで、生の大切さを感じ平和への希望・切望、生き続けることの大切さを描いていると。

    今回、山崎貴監督は徹底的なリアリティを追求してVFXの制作を行っている。
    もちろん零戦に関しても、その運用も開戦時の圧倒的な有利から、一転してアメリカの圧倒的な技術力・工業力の前に次々と落とされていく零戦、特攻すら敵艦船にたどり着けない。

    ラストの岡田准一さん演じる宮部久蔵の爽やかな笑顔が、死を覚悟した潔さ「生」を繋げることの出来た爽やかさに写り、溢れる涙を抑える事が出来なかった。
    堀越二郎も、自ら作った零戦が多くの人々の命を奪った事を後世に語りつなければと「生きねば!」と考えた。
    平和にどんよりと浸った平和ボケの人間が、集団的自衛権、国防軍だと叫んでいる。
    今大切な事は70年前に起きた戦争を正しく後世に子孫に伝えて行くこと「正しい戦争」なんて無いことを。

    作品では、宮部久蔵が何故?特攻を選んだか描かれていません。
    私個人の思いは・・・
    戦争は前線から一番遠いところで決まり、指示・指揮される。
    前線は、その悲劇を一身に背負い、それを見送るしかない。
    宮部は自ら身を特攻に委ねることで、次の時代に残せる「想い」が有ると考えたのではないだろうか・・・・

    2015年2月に同じ原作の7時間版のテレビドラマを見た、テレビ東京の50周年記念作品らしい。
    原作は一部を斜め読みしただけだが、きっとこれが原作に忠実なんだと思う。
    孫の年齢が少し高くなっている、それと現代の姉の恋愛の話が有ったりする、あと宮部久蔵の関係者がこっちの方が多かった。
    映画の方がシンプルにまとめられていて、脚本は上手いなぁ〜と思う。
    おばあちゃんのマツノがヤクザから助けられたのがドラマでは偶然だったことが明確になってるが、映画の方は偶然か必然だったのか?明確にせずに、どちらかと言うと必然と感じさせている。
    一番の違いは、宮部久蔵の弾を避ける操縦法を映画では描いてる点で、これはテレビ版にはない、これは有った方が良かったと思う点。
    結局のところ、特攻がこの時代の人にとってどういうものだったか?と言う一点で、宮部久蔵の物語だが、映画版ではそこに話を集約して描くのに対して、原作・TV版は反戦的な意味合いと共に、戦争へ行った英霊達への賛歌でもある気がする。
    その辺が、この作品に対する賛否なんだろうけど・・・
    特に、特攻から生き残って事業家として成功した老人が、新聞社のチーフ(?姉に仕事を依頼するフィアンセ役)が、特攻とテロの相違について言い合うシーンなんかはそれだと思う。
    映画版では学生達の言い合いでしかなく、どちらに正解が有るかは不明にしている。
    極論を言うとテレビ版・原作では、A級戦犯を否定しておらず、悲しみながらもお国のために死んで行った・・・と言う体をとっている。
    一方で映画版はテロ的な背景・宗教による洗脳=日本軍部による国民の洗脳が有ったとする、一般的な意見を若者に言わせている。
    まぁ~原作ではA級戦犯だけではなく、それを煽った新聞社や世論も有るでは無いか!と言うことなんだろうけど。
    実際に行った人たちがどれだけ辛い思い、家族への想いを残して、お国のために立ったのか・・・と。

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    『永遠の0』の何が問題なのか?

    『永遠の0』の何が問題なのか?冷泉彰彦氏の批評が有ります。

    「重たいジレンマ」を描かず、どちらかと言うと同一視してしまう物語になっている点、その象徴として零戦を描いている点で、冒頭の宮﨑駿監督の言葉の意味を代弁している気がする。
    ただ個人的に、この作品を見て、特攻を肯定したり、英霊賛美に繋がり靖国参拝をしたくなるか?と言うと私はそうは思わなかった、感じなかった。
    むしろ先祖の墓前に頭を垂れる想いしか起きなかった。

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    私的『永遠の0』

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    日本は戦後70年が過ぎた、もう2度と戦前が来て欲しくはない。
    愛する“人”を守るために戦いに行った、死にに行った人がいる、しかしそれはお国のためではなく大事な“人”のために捧げた人生だった。
    しかし戦争は悲劇でしかない、愛する人たちのために殺し合いをしなくてはならないのだから。

    ② 作り手の強い意思を感じるか?

    戦争映画は金だけ掛かって儲からない、ヒットしないと言う日本映画の定説が有るらしい。
    そこをあえてヒットメーカーの山崎貴監督×ベストセラー作家・百田尚樹の組み合わせで挑戦。
    戦闘シーンに関しては、徹底したVFXを駆使して再現、岡田准一の演技を引き出していたのは思いの強さだと思う。

    ③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    この作品の俳優陣は素晴らしかった、岡田准一の正義のための戦争がないことから心が壊れていく姿も印象的。
    景浦を演じた新井浩文・田中泯の二人の存在感が良かったし、これが遺作となった夏八木勲の想いも良かった。

    ④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    戦争映画としてここまで映像化に成功した作品はない。
    『ALWAYS 三丁目の夕日』でも成功したVFXをリアリティのために使った山崎貴監督の執念すら感じる、とてもスケールの大きな作品としても成功している。

    ⑤ エンターテイメント性

    反戦映画でありながら、ドラマで見せる、映像で見せるところは山崎貴監督らしい出来。
    零戦を再現して作ってしまうことと同時に、戦争後半はアメリカの戦闘機に対抗できない旧型で有る点もしっかり描かれていた。

    ⑥ 演出が素晴らしいか?

    山崎貴監督らしい堅実な演出、リアリティを追求するために自然なVFXの使い方は流石。
    岡田准一と井上真央の夫婦、染谷将太が絡んで行くところの恋愛パートと、戦場での男の友情のパートもしっかり描かれていて見応えがあった。
    一方、ラストの回想シーンや現代を零戦が飛ぶシーンは、山崎貴監督らしいやり過ぎのところも。

    ⑦ 脚本が素晴らしいか?

    原作の長編から取捨選択して、英霊賛美から反戦映画になっていたと言う点では良かったと思う。

    ⑧何度も見たくなるか?

    反戦映画でありながら、それが愛する“人”のために、と言う判りやすいテーマで若い人にも見やすい。
    戦争は嫌いだけど、零戦や大和、空母などの兵器が好きと言う男の子の夢を見事に映像化している点でも、何度も見たくなるほどの面白さと完成度を持った作品。

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    映画『永遠の0』のデータ

    永遠の0 Blu-ray通常版 — Amazonで見る

    上映時間■144分
    製作国■日本
    公開情報■劇場公開(東宝)
    初公開年月■2013/12/21
    監督■山崎貴
    原作■百田尚樹 「永遠の0」(太田出版刊)
    脚本■山崎貴/林民夫
    主題歌■サザンオールスターズ 『蛍』
    VFX■山崎貴
    出演■岡田准一/三浦春馬/井上真央/濱田岳/新井浩文/染谷将太/三浦貴大/吹石一恵/田中泯/山本學/平幹二朗/橋爪功/夏八木勲

    ■日本アカデミー賞2014年
    作品賞
    主演男優賞 岡田准一
    助演男優賞ノミネート 三浦春馬
    監督賞 山崎貴
    脚本賞ノミネート 山崎貴/林民夫
    他

    オフィシャルサイトはこちらから

    【解説】
     放送作家として活躍する一方、小説でもヒットを連発する百田尚樹のデビュー作にして一大ベストセラーとなった同名小説を「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴監督が映画化した戦争ドラマ。現代の青年が、零戦パイロットだった祖父の戦死の謎を調べようとかつての戦友のもとを訪ね歩く中で、戦争の不条理と向き合っていく姿を描く。出演は零戦パイロットの青年・宮部久蔵に岡田准一、その妻・松乃に井上真央、そして2人の孫で調査を進める青年・佐伯健太郎に三浦春馬。
     司法試験に落ちて進路に迷う青年、佐伯健太郎。ある日、今の祖父とは血のつながりがなく、血縁上の祖父が別にいることを知る。その実の祖父の名は、宮部久蔵。太平洋戦争で零戦パイロットとして戦い、終戦直前に特攻出撃により戦死していた。そこで宮部について調べ始めてみると、かつての戦友はみな口を揃えて宮部を臆病者と非難した。天才的な操縦技術を持ちながら、生きて還ることに執着した腰抜けだと言うのだった。にもかかわらず、なぜ宮部は特攻に志願したのか。やがて、ついに宮部の最期を知る人物に辿り着く健太郎だが…。(映画データベース – allcinema より

  • 映画『シン・ゴジラ』 2016夏・ゴジラが復活!日本が再生する!

    映画『シン・ゴジラ』 2016夏・ゴジラが復活!日本が再生する!

    映画『シン・ゴジラ』 SHIN GODZLLA

    現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)。

    復活したゴジラが日本映画の象徴になる

    2016年夏、ゴジラが復活した!
    第1作の『ゴジラ』(1954年)が公開されてから約60年、現在までに国内で計28作品が製作され「ゴジラ・シリーズ」
    今作品で、遂に累計観客動員数が1億人を突破したそれも納得の作品、日本を代表するシリーズ映画として君臨する「ゴジラ」。
    但し、第1作以外のゴジラは、ウルトラマンやガメラなどの子供向けの怪獣映画になっていってしまった。
    実際、’50年代の映画の隆盛期から衰退期に入って、興行収入を考えると子供に観てもらえる映画としてシリーズ化するのは当然かもしれない推移だった。

    一方、日本で誕生したゴジラというキャラクターは、世界の「Godzilla」となり“キングオブモンスター”として人気を博しています。
    海外でも「ゴジラ」の評価は高くローランド・エメリッヒの『GODZILLA』(ゴジラと言うよりイグアナの大きいの)や記憶に新しい2014年にはハリウッド版『GODZILLA』(世界の渡辺謙さんが出演!)が全世界で興行収入570億円以上、国内でも32億円と大ヒットを記録している。

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    そして今回、庵野秀明総監督+樋口真嗣監督(特撮監督)で見事な復活!
    初代『ゴジラ』が帰ってきた!そんな感じ。
    実は私は「ヱヴァンゲリヲン」を観たことがない!(自慢w)どちらかと言うと庵野秀明さんと言えば、宮﨑駿監督の『風立ちぬ』の主人公・堀越二郎の声をやった人、と言う印象しかない(汗)
    「ヱヴァンゲリヲン」を知ってる人は、今回のゴジラは、まんまヱヴァらしい。
    チラッとテレビで見たけど雰囲気は判る。
    それと2作目以降のゴジラ・シリーズもほとんど見たことがない、特に平成ゴジラは全く見ていない・・・『ゴジラ FINAL WARS』はゲテモノ見たさでと言うのはあるけど。

    そして今作品は、初代・ゴジラと同様にゴジラ誕生から日本初上陸の話になっている。
    原点に戻って、ゴジラを再構築したと言う感じ、登場の仕方もビックリしたけどネタバレになるからこれ以上は書きません。
    にしても、怪獣映画と言う虚構を映像化にする以上、ゴジラの存在以外をリアルに描いている。
    映画では「一つだけ(大きな)嘘をついて良い」と言う物語作りの暗黙の了解(?)があるけど、逆に言うとそれ以外、リアリティが求められる。
    これは『ジュラシック・パーク』にも言えることだけど、現代に恐竜を復活させる技術は未だないが、そこに嘘が有るとして、恐竜の動きや生態に関しては出来る限りリアルに描く必要がある。
    今回、ゴジラと言う未知の生物で有り、敵の登場に日本政府や日本人がどう接するか?このとことんリアリティにこだわった作りが凄かった。

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    ’54年に現れたゴジラを、2016年の今復活させた意味、それは今の日本を描くことにある。
    自衛隊のあり方や日本の政治家、それを超えた知恵と勇気、アメリカを含む海外の思惑。
    そのためには、自衛隊の扱い方のリアリティも凄かった、10式戦車から富士山麓から155ミリ榴弾砲をぶっ放す、無人戦闘機から何から何までリアルに演出している。
    ある意味、福島の原発のメルトダウンとゴジラが被っている部分もあると思う。

    全体としては、本当に詰め込み過ぎというくらい、今の日本を克明に描きつつ、ゴジラ退治のためにアメリカの力を借りて、核融合をエネルギーとしているゴジラを核爆弾で退治すると言う話を縦軸に配して、様々な横軸が展開していく。
    長谷川博己演じる主人公(主人公はゴジラだけど、半分以上寝てるので)は、日本の政治構造や外交と言ったものに関わりながら、日本人の良心を表現している

    一方で日本的な人間ドラマ(恋愛とか家族愛)と言ったものをスッパリ切り捨てた潔さには拍手!
    最後に新幹線とかを突っ込ませるのも最高!!
    怪獣映画として、そしてVFXとして、日本生まれのゴジラ映画として、何の手抜きもない作品に仕上がっていて、ここまやるか!?と感心させられた。
    オープニングも伊福部昭のゴジラのテーマ曲も、故・岡本喜八監督のカメオ出演も、その他沢山の俳優がカメオ出演しているし、ゴジラ愛・日本映画愛を感じる作品。

    唯一残念だったのが石原さとみ。
    彼女の役は、アメリカ人にやって欲しかった、40代で女性のアメリカ大統領になる名門の出が日系アメリカ人と言うのは、ゴジラの存在並みに真実味がない、嘘は一つまで。
    好きな女優さんだけにちょっともったいなかった。

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    私的『シン・ゴジラ』

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    この作品には初代ゴジラと共通のテーマが有る、それはゴジラよりも人間の行いの方が恐ろしいと言うもの。
    人間は自分たちの利益を再優先する、ゴジラが生まれた理由、ゴジラを殺す方法、全てが人間のエゴの上に立っている。
    しかし、窮地に立ってそこを乗り越えていく、戦後の日本人の姿にも共通するものを感じた。

    ② 作り手の強い意思を感じるか?

    何故、今、ゴジラなのか?ちゃんとその答えを持っている、第1作目の『ゴジラ』も喧々諤々とその対策を練るシーンが描かれる。
    ゴジラを通して日本人を描こうとしている、そして今の日本、将来の日本への希望が描かれている。

    ③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    長谷川博己も力演、その他の主要の配役も力演。
    防衛大臣が女性と言うのもモデルがいるのか?(笑)斎藤工、犬童一心監督、小出恵介と沢山の俳優がカメオ出演、みんな日本映画への愛を感じる。

    ④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    日本でここまでVFXを使ってスケールの大きな作品を作ってくれるとは。
    白組の頑張りが凄い!ゴジラの武器もそう来ますか!

    ⑤ エンターテイメント性

    ゴジラをちゃんと描いた、ハリウッドを超えるエンターテイメントだったと思う。
    『パシフィック・リム』にもちゃんと勝っていた、ギレルモ・デル・トロ監督の日本の怪獣映画愛にもちゃんと応えたと思う。

    ⑥ 演出が素晴らしいか?

    演出はヱヴァのまんまらしい。
    それはおいといて、最近の日本映画(洋画も?)はやたらと俳優のドアップが多くないか?と。
    にしても、自衛隊とか日本の政治家とか、リアル過ぎてその演出は良かった。

    ⑦ 脚本が素晴らしいか?

    意外性もあるのに、ちゃんと初代ゴジラの主旨も受け継いでいた。
    怪獣映画に徹して、日本映画に有りがちな、恋愛や家族愛に走らなかったのも良かった。

    ⑧何度も見たくなるか?

    これは映画館でも、ビデオになっても何度も見たくなる。
    それ以前に、色々と詰め込み過ぎ、しかもちょっとした庵野秀明監督の思い入れのシーンとか遊びも有って、細々とチェックしてみたい。
    ゴジラ愛・映画愛が高じるとここまでこだわった映画になる、それは何度も見たくなる。

    映画『シン・ゴジラ』のデータ

    2016年製作

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    【キャスト・スタッフ】
    長谷川博己 竹野内豊 石原さとみ

    脚本・総監督:庵野秀明
    監督・特技監督:樋口真嗣
    准監督・特技統括:尾上克郎
    音楽:鷺巣詩郎

    公開日 :2016年7月29日
    公開情報 :全国東宝系にてロードショー

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    【ストーリー】
    東京湾・羽田沖—。
    突如、東京湾アクアトンネルが巨大な轟音とともに大量の浸水に巻き込まれ、崩落する原因不明の事故が発生した。
    首相官邸では総理大臣以下、閣僚が参集されて緊急会議が開かれ、「崩落の原因は地震や海底火山」という意見が大勢を占める中、内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)だけが、海中に棲む巨大生物による可能性を指摘。内閣総理大臣補佐官の赤坂秀樹(竹野内豊)をはじめ、周囲は矢口の意見を一笑に付すものの、直後、海上に巨大不明生物の姿が露わになった。
    慌てふためく政府関係者が情報収集に追われる中、謎の巨大不明生物は鎌倉に上陸。普段と何も変わらない生活を送っていた人々の前に突然現れ、次々と街を破壊し、止まること無く進んでいく。
    政府は緊急対策本部を設置し、自衛隊に防衛出動命令を発動。さらに米国国務省からは、女性エージェントのカヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)が派遣されるなど、未曽有の脅威に対し、日本のみならず世界もその行方を注視し始める。
    そして、川崎市街にて、“ゴジラ”と名付けられたその巨大不明生物と、自衛隊との一大決戦の火蓋がついに切られた。
    果たして、人智を遥かに凌駕する完全生物・ゴジラに対し、人間に為す術はあるのか?
    (C)2016 TOHO CO.,LTD.

  • 映画『百円の恋』 人生の転機!頑張る!!日本版女ロッキー

    映画『百円の恋』 人生の転機!頑張る!!日本版女ロッキー

    映画『百円の恋』

    百円の恋

    呆れる程に、痛かった。

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    人生、どこでやる気を起こすか!

    『百円の恋』を観てきました!(気合w)
    2014年の年末、ギリギリ映画館に滑り込んで見てビックリしました!
    こんなに勇気をもらえる映画に出会えるなんて。

    周南映画祭で創設された脚本賞“松田優作賞”の第1回グランプリに輝いた足立紳さんのオリジナル脚本を映画化した作品で、東映ビデオが出資をしているみたいで、単独だからインデペンデント映画なんだと思う、これが重要。

    実家にひきこもって自堕落な生活をする32歳の女性が、仕方なく一人暮らしをする始め、仕方なく100円ショップでアルバイトを始め、そんな中ボクシングジムで知り合った男性と付き合い始めて、自らもボクシングジムに通い始める・・・

    前半の安藤サクラさん演じる主人公・一子のグタグタ感が半端無く、作品もダラダラとした日常を描き続ける。
    女を捨てた三十路女、アルバイトをしてもまともな接客も出来ず、アルバイト先の同僚に処女をレイプで奪われてしまう。
    そんな日常を描いて作品はどこへ向かうのか?と不安になるが、それは後半のカタルシスのために必須だったことが判る。

    後半は、一転してボクシングにマジに取り組んでいく一子の姿を描く。
    それが、何か一念発起して!とかではなくて、なんとなくカッコ良さそう~とか、男にフラれたからと言う動機、でもその本気度は本物!

    ここからの安藤サクラさんの迫力が凄い!演技なのか?本気なのか?
    ブヨブヨの身体が引き締まって、顔も一回り小さくなっている。
    (あとで聞いたら、撮影を2度に分けたらしい)
    マジで日本版ロッキー!一気に胸を熱くさせられる。

    最後に「エイドリアン~」とは叫ばず、ボソッと「勝ちたかった」と言って泣くあたりは、日本映画ならではの良さでしょう。
    新井浩文さん演じる引退したボクサー・狩野に「かわいこぶってるんじゃねぇぞ、ブス!」と言われる一子が最高だった。

    安藤サクラさんの体当たりの演技が素晴らしい!今年最高の演技を見せられた気がする。
    そして、限られた予算のインデペンデント映画でも、これだけの脚本を書けて、企画立案すればこれだけの作品が出来るという希望を感じる事が出来た作品。
    年末に一発かましてくれたロッキー的感動作品だった!

    私的『百円の恋』

    テーマが有るか?共感できるか?

    人生負け組なんて、気持ちの持ちよう、本人のやる気で変われる!これぞ日本版ロッキー

    作り手の強い意思を感じるか?

    渾身の脚本を劇場公開、そして大ヒット!までに持って行ったそれぞれのスタッフの意欲を感じる作品。

    俳優の意思や演技力が伝わるか?

    安藤サクラさんの体型から、なりふり構わない演技は凄みが有った!
    新井浩文さんの存在感も際立っていた。

    映画らしい楽しさが備わっているか?

    低予算の映画でしたが、ラストに向かっていくカタルシスが良かった、テレビや他のメディアでは出来ない思いっきりさが良かった。

    エンターテイメント性

    前半のウダウダ感に意味があるものの、ちょっとそこが退屈に感じる部分。
    逆に、本当にダメダメぶりが面白かったんですけど。

    演出が素晴らしいか?

    日本のインディーズ系らしい演出、それはそれで良さと感じた、ある意味、古さでもあるけど。

    脚本が素晴らしいか?

    文句がないくらい素晴らしい脚本、断片的なリアリティ感と、絶対無さそうなジャパン・ドリーム的なところのギャップが良かった!

    何度も見たくなるか?

    自分を変えたい、もう一度勇気を持ちたい!そんな時に観たくなる作品。

    映画『百円の恋』のデータ

    百円の恋

    113分 日本 2014年

    監督■武正晴
    製作■間宮登良松
    エグゼクティブプロデューサー■加藤和夫
    プロデューサー■佐藤現/平体雄二/狩野善則
    脚本■足立紳
    撮影■西村博光
    美術■将多
    衣装■宮本まさ江
    編集■洲崎千恵子
    音楽■海田庄吾
    音楽プロデューサー■津島玄一
    主題歌■クリープハイプ 『百八円の恋』

    メイク■金森恵
    企画監修■黒澤満
    照明■常谷良男
    録音■古谷正志
    助監督■山田一洋
    出演■安藤サクラ/新井浩文/稲川実代子/早織/宇野祥平/根岸季衣

    百円の恋 特別限定版 Blu-ray — Amazonで見る

    映画「百円の恋」 公式サイト

    【解説】
     今や日本を代表する実力派女優の一人となった「かぞくのくに」「0.5ミリ」の安藤サクラが、渾身の体当たり演技で各方面から絶賛された闘う女の人生再生ドラマ。
    故・松田優作の出身地・山口県で開催されている周南映画祭で創設された脚本賞“松田優作賞”の第1回グランプリに輝いた足立紳のオリジナル脚本を、「イン・ザ・ヒーロー」の武正晴監督が映画化。
    自堕落な生活を送るダメダメな三十路女が、中年ボクサーとの出会いをきっかけに、自らもボクシングに目覚め、次第に肉体とともに心もシェイプしていく姿を描く。
    共演は「アウトレイジ ビヨンド」「愛の渦」の新井浩文。

     実家にひきこもり、自堕落な毎日を送る32歳の一子。
    ある日、離婚して子連れで出戻ってきた妹と衝突して家を飛び出し、一人暮らしをするハメに。
    仕方なく、100円ショップで深夜のバイトを始めた一子は、そこで同じように社会からこぼれ落ちた不器用な人間たちと出会っていく。
    そんな中、近所のボクシングジムでストイックに練習を続ける引退間近の中年ボクサー・狩野と付き合い始めた一子は、やがて自分もボクシングのトレーニングを始めるようになるのだったが…。(映画データベース –allcinema より)

  • 映画『あん』 「死ぬときぐらい好きにさせてよ」人生の重荷を下ろす映画

    映画『あん』 「死ぬときぐらい好きにさせてよ」人生の重荷を下ろす映画

    映画『あん』

    113分 日本/フランス/ドイツ 2015

    映画『あん』

    やり残したことは、ありませんか?

    2016年正月早々の新聞広告一面に衝撃的な広告が掲載されました

    2012年の第36回日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞に輝いた女優の樹木希林さんが、全身を癌に侵されていると公表し話題になりました。

    その樹木希林さんが「生きるのも日常、死んでいくのも日常」とコメントしています。

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    相変わらず元気にご活躍中の樹木希林さん。
    昨年(2015年)公開の『あん』でも素晴らしい演技をされてました。

    一方でジャーナリストの竹田圭吾さんが51歳と言う若さで亡くなりました。

    竹田圭吾
    「Mr.サンデー」でも癌を告白されていて、髪の毛は抜けてないのでカツラと言う話もされていました。
    このところ、明らかに痩せてきていたので...と考えると人はいつ死ぬか、何歳で死ぬか判らないものです。
    それでも、死の間際までテレビに出続けていたのは、ジャーナリストとしての本懐だったのでは、と。
    上記の樹木希林さんのコメントが心に刻まれます。

    はじめて河瀨直美監督の作品で好きになりました

    河瀬直美監督作品『あん』です。
    どら焼きの「あん」のことです。

    街の小さなどら焼き屋さんの雇われ店長(永瀬正敏)のところに、ある日、一人の老女(樹木希林)が求人募集を見て働かせて欲しいと言ってくる。

    『あん』ロケ地

    その高齢のため、一度は断る店長だったが、老女が残していった粒あんが絶品だったので老女を雇うことにする、と・・・
    (写真は、どら焼き屋のセットが有ったロケ地です、ちょっと見に行ってきました)

    河瀬直美監督作品は『殯(もがり)の森』以来、見ているのですが、睡魔との格闘が有ったりと苦手な監督になりつつ有りました、前作の『2つ目の窓』も今ひとつピンとこないところが有って。

    そんな中、今作品、感動的でした!
    樹木希林さんの演技が圧巻でした!!もうこれを観るためだけに映画を観て欲しいくらいです。

    人はそれぞれに人生に重荷を背負うことが有ります、どら焼き屋の店長も重荷を背負ってこの場所でなんとなくどら焼きを焼いています。
    樹木希林さん演じる老女は、更に重たいものを背負っているのに、どこか明るく前向き、時折、陰が見え隠れするのですが・・・その演技が凄い、河瀬直美監督は長回しで俳優の演技を引き出しますが、樹木希林さんの独特の間も生きています。

    作品を見終わった時に、その重荷を一つ降ろした開放感がまた大きな感動を与えてくれました。

    国立療養所多磨全生園

    映画の中盤で樹木希林さん演じる老女はハンセン病患者だと言うことが判る。
    不当な差別を受け、何十年も隔離されて世間から切り離されている。

    そんな彼女がやっと世間との接点を持ち、それに心から喜ぶ姿を、光と影で表現している。
    でも、この作品で涙する人々は、本当に差別を憎んでいるのだろうか?と。
    ハンセン病はつい最近まで差別の対象だった、たまたま私がこの作品の舞台の近くに住んでいることで、ハンセン病の多少なりの知識が有ったから、途中でハンセン病の話が出た時、絶句してしまった。
    (写真は、国立療養所多磨全生園です、近くなのでこちらも行って来ました)

    作品の良さを味わってもらうこと共に、この作品の持つテーマ、差別と言うことも今一度考える機会になればと・・・
    もしかしたら、私だって作中の浅田美代子さん側の人間かもしれないのだから、と。

    私的『あん』

    テーマが有るか?共感できるか?

    主人公の二人、樹木希林さん演じる老女と永瀬正敏さん演じるどら焼き屋の店長が、重い荷物を持って人生を生きています、そう誰もが軽重は有るのかもしれませんが、荷物を背負って生きています。
    それが不当な差別としたら、それでも強く生きることを教えてくれる作品に感動しました。

    作り手の強い意思を感じるか?

    常にテーマ性の高い作品を送り出す河瀬直美監督が、それまでの抽象的な生命の神秘・不思議を描いていたのとは一変して、ストレートに「人生」を描いたことに驚き、感心させられました。

    俳優の意思や演技力が伝わるか?

    感想にも書きましたが、樹木希林さんの演技が凄かった・・・それって演技ですか?と。
    最近、特に演技面の充実が見られる永瀬正敏さんも良かったです、樹木希林さんと見事な対を成していました。

    映画らしい楽しさが備わっているか?

    低予算のしかもこの手のテーマの物語なので、大作のような大画面で楽しむ、と言うだけの作品では有りません。
    でも実際に、この手の差別を取り扱った作品をテレビで放送することが難しいのが現実です。
    だからこそ、映画でやる価値がある作品と言えます。

    あん

    エンターテインメント性

    樹木希林さんの演技を見る、と言うのもエンターテインメントではないでしょうか?
    派手さは有りません、低予算で良い映画を作ると言った見本のような作品です。

    演出が素晴らしいか?

    河瀬直美監督は独特の映像感覚を持っています、毎回、それは楽しみにしています。
    そして長回しが好きな監督さんでも有りますが、今回は、樹木希林さんをはじめとする俳優さんたちの演技が素晴らしいので、非常にマッチしている感じです。

    脚本が素晴らしいか?

    予告で既に「らい」と言う言葉が出ているのですが、私が知らなかったので、流石に物語の展開に驚かされました。
    前半と後半の陰影のある展開が素晴らしかった、河瀬直美監督の作品を今回評価したのは、脚本の素晴らしさに有ったのかもしれません。

    何度も見たくなるか?

    重いテーマの話なので、何度でも見たい!と言うよりも、人生の節目で観たくなる作品だと思っています。

    映画『あん』のデータ

    あん

    監督■河瀬直美
    プロデューサー■福嶋更一郎/澤田正道/大山義人
    原作■ドリアン助川 『あん』(ポプラ社刊)
    脚本■河瀬直美
    撮影■穐山茂樹
    美術■部谷京子
    編集■ティナ・バス
    主題歌■秦基博 『水彩の月』
    照明■太田康裕
    録音■森英司
    助監督■近藤有希
    出演■樹木希林/永瀬正敏/内田伽羅 /市原悦子/水野美紀/太賀/兼松若人/浅田美代子

    映画『あん』 [ 樹木希林 ]

    映画『あん』公式サイト

    【解説】
     ドリアン助川の同名小説を「殯(もがり)の森」「2つ目の窓」の河瀬直美監督が映画化した人生ドラマ。
    小さなどら焼き屋の雇われ店長と、粒あん作りの腕を買われて働くことになった老婦人の心の交流と、次第に明らかとなる老婦人が辿った過酷な人生を優しく見つめる。
    主演は「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」の樹木希林と「隠し剣 鬼の爪」の永瀬正敏。
    また、樹木希林とその実孫・内田伽羅との初共演も話題に。
     町の小さなどら焼き屋“どら春”で雇われ店長をしているワケありの中年男、千太郎。単調な毎日を送る彼の前に、ある日、求人募集の張り紙を見て働かせてほしいと申し出る老女、徳江が現われる。
    彼女の粒あんが絶品だったことから雇ってみたところ、たちまち評判となり、店はみるみる繁盛していくが…。(映画データベース –allcinema より)
     

  • 映画『風に立つライオン』 自分をはげましたい時に見たい映画

    映画『風に立つライオン』 自分をはげましたい時に見たい映画

     映画『風に立つライオン』

    139分 日本 2015年

    風に立つライオン

    遥か遠いケニアの大地――
    愛する人たちへ捧ぐ「命の讃歌」

    自分をはげますことで出来ること

    「頑張れって言うのは人に言う言葉じゃないよ、あれは自分に向かって言ってるんだ」

    大沢たかおさん演じる主人公が、アフリカの大地の地平線に向かって「ガンバレ~」と叫びます。
    それを見ていた女性(看護婦)に主人公が言ったセリフです。

    さだまさしさんが1987年に発表した同曲をモチーフに、俳優・大沢たかおさんがさださんに熱望して小説化、そして映画化された作品。
    監督は三池崇史、共演に石原さとみ、真木よう子。

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    1987年にアフリカ・ケニアのに渡った一人の青年医師が見た想像を絶するような過酷な現実、それにどう向かっていったかを描いています。

    実はこの作品には非常に興味が有りました、それは最貧国の子供達を描いているからです。
    それを稀代のエンターティナー・三池崇史監督が描いたことで、不安も有り、そして期待もして見ました。
    この作品、2時間30分近い長さの作品なのですが、個人的にはちょっと長過ぎる。
    おそらく、色々と詰め込み過ぎてるんだと思います、確かに僕が物語を考えたとしても、日本とケニアを対比して描きたい、と言う気持ちになります。
    ただ、映画にする時は日本のパートはバッサリ切っても良かったのではないでしょうか?(日本のパートも出来は良いし、地方医療の大切さを描いているのですが)

    風に立つライオン

    更に言うと、本筋のケニア・ロケ、やっぱり日本映画が海外ロケをすると、言葉に表現しづらい違和感を感じるのです。
    言葉の問題で現地の俳優さんを上手く演技指導出来ないとか、ハードルは高いのかもしれません。
    結果、どうしても主人公演じる大沢たかおに頼った演出にならざる得ない。

    その一方で、この難しい題材を映画化したことに、キャスト・スタッフに敬意を払いたい。
    特に三池崇史監督は、どちらかと言うと職人監督さんで『グローズZERO』や『悪の教典』等のなんでも撮れてしまう監督が、敢えて社会的なテーマに切り込んだ作品でした。
    そして地球の反対側で生命の大切さを痛感して生き抜いた日本人を描いた、このテーマを映画にした、これ程素晴らしい事はないと思う。

    主人公が、この過酷な現実の中に見つけたのは、子供と言う希望だろう、その希望のために志を抱いて行動をした。
    それを伝えられる手段としての映画の素晴らしさを感じるのです。
    志を貫いた日本人の姿を感動的に描き切った作品、最後は涙があふれてくる「ガンバレ~!ガンバレ~!」っと。

    そして改めて子供に必要なものは「愛情」と「教育」であることを教えてくれる。

    四半世紀前からこの現状は、今も変わらないと言う事を、今の日本の若者にも知って欲しい、そして是非、観て欲しい作品。
    そして、自分へのエール「ガンバレ~!」

    さだまさしさんの歌とこの小説には、元々、モデルになった医師がいます。
    柴田紘一郎先生という人です、JICAの専門家になります。

    下の映像はJICAとは関係有りませんが、映画の背景に何が有るかを感じ取ってもらえると思います。
    「何もかもは」はできなくても「何か」はきっとできる。
    「何か」をする自分も励ましたいと思う。
    少し長い映像ですが、これが世界の現実です。

    私的『風に立つライオン』

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    この世の中にまだ最貧国があり、日本は先進国であると言う事実、その中で何ができるのか?ということを考えるのは大切なことではないでしょうか?
    それを気付かせてくれます。
    日本の地域医療と言うテーマが対比するものなのか?と言う点で少し疑問点は残る。

    ② 作り手の強い意思を感じるか?

    さだまさしさんの歌を聞いて映画にしたい、映像にしたいと言う想いをもった俳優の大沢たかおさん。
    そしてそれを演出した三池崇史監督、それぞれの想いが詰まった作品に感じます。

    ③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    大沢たかおさんや日本人の俳優さんたちは素晴らしい。
    やはり残念なのは、日本の映画が海外に行くと、海外の俳優(現地の人たち)の演技に違和感を感じてしまう。

    ④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    日本映画には珍しいスケールの大きな作品、アフリカの大地が美しい。
    ただ現実は厳しいということ、映画館で見ることで迫力を感じることもできる作品になっている。

    ⑤ エンターテイメント性

    最貧国で扱われる子供たちと、日本地域医療と言う2つのテーマを追ったことによって、エンターテイメントと言う点では、ちょっとブレた感じが有り、どうしても日本のパートが重く感じられてしまったのが残念。

    ⑥ 演出が素晴らしいか?

    海外作品の壁を感じてしまう。
    果たして、これは乗り越えられる壁なのか、ちょっと思いつかない
    けれども。
    スタッフの素晴らしい仕事は感じられるだけに惜しい。

    ⑦ 脚本が素晴らしいか?

    日本のパートの扱いが難しい、離れ離れになる主人公とその恋人の関係や、主人公がアフリカで出会う看護婦との関係など、詰め込み過ぎの部分が感じられる。

    ⑧何度も見たくなるか?

    これは作品の出来と言う話になってしまうが、きっとアフリカのパートだけで上手くまとめることが出来れば、一つのテーマで作られた映画となったと思う。

    映画『風に立つライオン』のデータ

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    監督■三池崇史
    企画■大沢たかお
    エグゼクティブプロデューサー■門屋大輔
    プロデューサー■藤村直人/坂美佐子/前田茂司
    ゼネラルプロデューサー■奥田誠治
    原作■さだまさし
    脚本■斉藤ひろし
    撮影■北信康
    美術■林田裕至
    編集■山下健治
    音響効果■柴崎憲治
    音楽■遠藤浩二
    主題歌■さだまさし
    VFXスーパーバイザー■太田垣香織
    スタイリスト■前田勇弥
    照明■渡部嘉
    装飾■坂本朗
    録音■中村淳
    助監督■原田健太郎/倉橋龍介
    出演■大沢たかお/石原さとみ/真木よう子/萩原聖人/鈴木亮/石橋蓮司

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    映画『風に立つライオン』公式サイト

    【解説】

     アフリカで医療活動に従事した実在の日本人医師にインスパイアされたさだまさしが87年に発表した同名曲をモチーフに、さだ自らが2013年に書き下ろした小説を、大沢たかお主演で映画化したヒューマン・ドラマ。
    共演に石原さとみ、真木よう子。
    監督は「藁の楯 わらのたて」「神さまの言うとおり」の三池崇史。
     1987年、大学病院に勤務する島田航一郎はケニアの研究施設に派遣されることが決まり、恋人の貴子を日本に残し、ケニアへと旅立った。
    現地で研究と臨床に明け暮れ、充実した日々を送っていた航一郎だったが、その後、国境近くの赤十字病院からの派遣要請を受ける。
    航一郎は、想像を絶する過酷な状況に戸惑いながらも、同病院で出会った日本人看護師・草野和歌子と力を合わせ、負傷者の手当に当たる。ある日、そんな航一郎の前に、一人の少年兵ンドゥングが担ぎ込まれてくるが…。(映画データベース –allcinema より)

     

     

  • 映画『海街diary』 それぞれの運命を背負って静かに生きていく姿が感動的!

    映画『海街diary』 それぞれの運命を背負って静かに生きていく姿が感動的!

    映画『海街diary』 OUR LITTLE SISTER

    海街Diary-カンヌ

    家族を捨てた父が、のこしてくれた家族

    日常の連続性を丁寧に見せることで家族を描く

    『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞した是枝裕和監督作品『海街diary』です。
    原作は、吉田秋生さんの同名マンガ、未読(その後、ちゃんと読みました)です。
    でも好きな漫画家さんなんです、昔よく読みました。

    海街Diary

    物語は・・・
    鎌倉に住む三姉妹、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)のもとに別居している父の訃報が届く。
    父は15年前に不倫の末、家を出て行ってしまっていた。
    山形の葬儀に参列した三姉妹は、そこで父が二度目の結婚で出来た腹違いの妹・すず(広瀬すず)と出会う。
    「鎌倉で暮らさない」と言う幸の一言から、鎌倉での四姉妹の共同生活が始まるが・・・というもの。

    実は、好き嫌いが分かれるのかな?と、僕は大好き!とても感動した作品。
    でも、この作品、日記なので、日常が淡々と描かれていくんです、大事件は起きない、昔の日本映画を見ているみたい、小津とか溝口ね。

    それまで別々に暮らしていた血の繋がりの有る家族が、一緒に暮らし始めて、微妙な感情のズレとかが有りながら、その少しのズレが、ホンの少しずつ、ピタリと重なりあっていく、そんな瞬間を丁寧に描いている。
    特に日本人は、と思うんですが、本音や想いを時には心の中にしまって言葉にしなかったり、そんな時の映像の間や見せる表情が素敵な映画でした。

    一つ一つのシーンが素敵で、そこで発せられる言葉に重みが有って、原作を読んでいないのに、これはきっと吉田秋生さんの原作のセリフなんだろうなぁ~って感じさせる。
    それでいて、ちゃんと伏線が有って、それがちょっとしたことで、日常の連続性を紡いてくれているところも良かったです。
    とても表現が簡潔で、不要なものは見せない(逆に必要なものは間の中で見せる)、説明をしない(確か回想とかもない)ので、幸の恋愛関係がどういう形かはハッキリと描かれない、シーンの重要性をそうやって高めている。
    一番良いのは「お父さん」が出て来ないことかもしれない。
    そう、昔の日本の映画は余計なことをしゃべらなかった、いつから登場人物が自分の心情をしゃべりまくるドラマばかりになったんだろう。

     是枝監督が原作を気に入って映画化、脚本は是枝監督自ら書いています。
    淡々としていて大上段にテーマを掲げてはいないのですが、『そして父になる』に共通する、そして吉田秋生さんがよく描く「血」のつながりの絆を、色々な親子の形で描いて見せてくれる。
    そんな家族にとって日々の積み重ねだけが、人生を歩んでいくんだと言う事を気づかせてくれる、人生には正解がないから一歩ずつ進むんだと、そう正解は自分で見つけるしかない。

    今回、四姉妹が本当に素晴らしい、奔放な長澤まさみさんもいいなぁ~と思ったら、広瀬すずちゃんの瑞々しさも、そして夏帆ちゃんの「三女だから」と軽く見られながらも、実は色々と考えてるんだよ~的なところも本当に良かった。
    でも見る前、ミスキャストでは?と思った綾瀬はるかさんが本当に良かった!
    キャピキャピした可愛い女性と言う今までのイメージを払拭して、凛とした長女の部分と大人の色気を持った女性像を作り上げていた、一皮むけた感が有った。

    何回も観たくなった・・・で、おそらく映画とは違うであろう、吉田秋生さんの原作も読みたくなった、そんな作品でした。
     鎌倉に行きたくなる映像も素敵です!

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    脇道。

    吉田秋生-海街Diary

    吉田秋生さんの原作も素敵でした。
    映画のセリフはほとんど原作のままでした。
    ある意味、原作マンガのダイジェスト的な作りになっているのですが、そこがそうなっていない絶妙な味付けの脚本も素晴らしかった。
    原作はやはり、吉田秋生さんらしい「血縁」と言うところが強調されていた。
    原作もオススメです!

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    私的『海街diary』

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    人間のつながりとは何か?人は人と繋がっている、と実感させてくれます。
    そして日々の生活を大切にすることを気づかせてくれます。

    ② 作り手の強い意思を感じるか?

    原作の吉田秋生さんが作品を見て「なんかちょっぴり、くやしかった(笑)」とコメントしています。
    長編マンガの原作を、エッセンスだけ抜き出してみせたところは、是枝監督の思い入れを感じました。

    ③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    キャスティングを見た時に「あれ?」と思ったのですが、全員が素晴らしい演技だった。
    原作のキャラクターにもはまっていました。

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    ④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    鎌倉の街が素敵に描かれています、もう一度、同じ場所を訪れてみたくなるくらい。

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    ⑤ エンターテイメント性

    静かな映画です、でも飽きることはなかった。
    人生ってドラマだから・・・そのドラマをちゃんとエンターテインメントとして描いていました。

    ⑥ 演出が素晴らしいか?

    是枝監督の小さな子供が出てくる映画は実は苦手です(汗)
    どの作品でも、子役も俳優さんも生き生きとしています、この作品では子役は出てきませんが、登場人物が生き生きとしています。
    だから、間が生きてくるんだと感じました。

    ⑦ 脚本が素晴らしいか?

    原作も素晴らしい作品です、でもダイジェスト的に話を網羅してるのですが、ちゃんと伏線が張られていて、ちゃんとその伏線を回収しているので、後でジーンと来るシーンが多い、素晴らしい脚本だと思います。

    ⑧何度も見たくなるか?

    人生の素晴らしさを、しみじみと感じさせてくれる作品です、そう言う意味で人生の節目で何度でも観たくなる作品に感じしまた。

    映画『海街diary』のデータ

    海街Diary

    2015年 128分 日本

    監督■是枝裕和
    製作■石原隆/都築伸一郎/市川南/依田巽
    プロデューサー■松崎薫/田口聖
    アソシエイトプロデューサー■西原恵
    ラインプロデューサー■熊谷喜一
    原作■吉田秋生『海街diary』(小学館『月刊フラワーズ』連載)
    脚本■是枝裕和
    撮影■瀧本幹也
    美術■三ツ松けいこ
    キャスティング■田端利江
    スクリプター■矢野千鳥
    衣裳デザイン■伊藤佐智子
    照明■藤井稔恭
    装飾■松尾文子
    録音■弦巻裕
    ヘアメイクデザイン■勇見勝彦
    助監督:兼重淳遠藤薫
    出演■綾瀬はるか/長澤まさみ/夏帆香田/広瀬すず/加瀬亮/鈴木亮平/キムラ緑子/中村優子/樹木希林/リリー・フランキー/風吹ジュン/堤真一/大竹しのぶ

    映画『海街diary』公式サイト

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    【解説】
     人気少女漫画家・吉田秋生の同名傑作コミックスを「歩いても 歩いても」「そして父になる」の是枝裕和監督が映画化。
    鎌倉の古い一軒家に暮らす3姉妹が、腹違いの妹を迎え入れ、それぞれに複雑な想いを抱えながらも日々の暮らしを通して家族としての絆を紡いでいく1年の物語を、鎌倉の四季折々の美しい風景とともに綴る。
    主役の四姉妹には綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず。共演に加瀬亮、鈴木亮平、樹木希林、リリー・フランキー、風吹ジュン、堤真一、大竹しのぶ。
     鎌倉の古い家に暮らす幸、佳乃、千佳の香田三姉妹。
    父は不倫の末に15年前に家を出て行き、その後、母も再婚してしまい、今この家に住むのは3人だけ。
    ある日、その父の訃報が3人のもとに届く。
    父の不倫相手も既に他界しており、今は3人目の結婚相手と山形で暮らしていた。
    葬儀に参加した三姉妹は、そこで腹違いの妹すずと出会う。
    父が亡くなった今、中学生のすずにとってこの山形で身寄りと呼べるのは血のつながりのない義母だけ。
    気丈に振る舞うすずだったが、肩身の狭い思いをしているのははた目にも明らか。
    すずの今後を心配した幸は、別れ際に“鎌倉で一緒に暮らさない?”と提案する。
    こうして鎌倉へとやって来たすずだったが、最初は自分の母が幸たちの父を奪ったことへの負い目を拭えずにいた。
    それでも、異母姉たちと毎日の食卓を囲み、日常を重ねていく中で、少しずつ凝り固まった心が解きほぐされていく。
    また、入部した地元のサッカーチームでも仲間に恵まれ、中学生らしい元気さも取り戻していくすずだったが…。(映画データベース –allcinema より)

  • 映画『風立ちぬ』 宮﨑駿監督の最新作にして遺作?そして最高傑作!

    映画『風立ちぬ』 宮﨑駿監督の最新作にして遺作?そして最高傑作!

    映画『風立ちぬ』 THE WIND RISES

    126分 2013年 日本

    生きねば。

    宮﨑駿(監督作品)の中では、私は一番好きな作品

    宮崎駿監督5年ぶりの新作アニメ。
    零戦の設計者・堀越二郎の半生と、堀辰雄の小説「風立ちぬ」のエピソードを交えたオリジナル作品。
    後半は溢れ出しそうな涙を止めるのに苦労しました!
    周りが若いカップルばっかりなので、流石におじさん一人では泣けない(汗)

    宮崎アニメの集大成のような描写、音楽、音響・・・この作品がアニメである理由もしっかり有りました。
    本当に音の表現が素晴らしかった~飛行機や地震の音、等々。
    そして、こんなに素敵なラヴ・ストーリーとは思っていなかった。
    話の中心に、小説「風立ちぬ」が有って、主人公・二郎とヒロイン・菜穂子のラヴ・ストーリーが、暖かくそして切なく展開されていきます。
    もう一つの話が、堀越二郎の夢「美しい飛行機を作りたい」とひたすら追い求める姿が描かれる。

    風立ちぬ 生きねば。

    何故、この二つのモチーフを一つの物語に詰め込んだのか。
    一つは、男の夢と愛情は同等なもの、おそらく宮崎監督自身の想いが詰まってるんだと思う。
    宮崎監督自身のアニメに掛けてきた人生そのもの。
    二郎は菜穂子を置き去りにしても、飛行機の設計に没頭する、でも菜穂子の事も心から愛している、ストレートなくらいに。
    もう一つは、道具(飛行機)に込められた宮崎監督の想い。
    道具は、誤った使い方によっては、沢山の悲劇を生むということ。
    『ナウシカ』や『もののけ姫』での文明進歩と自然破壊をストレートに描くような事は無く、子供のような純粋な夢や想いが、戦争の武器となって悲劇を生み出してしまった結果しか描かれない。
    だからこそ主人公と主人公の作り手・宮崎監督自身は「生きねば」ならない。
    生き抜いて、語り部となる必要が有るのではと・・・

    切なく悲しいラヴ・ストーリーと共に、色んな思いが交錯する作品でした。
    こんな大人のための宮崎アニメを見るなんて思ってもいなかった。
    私は一人で観に行きましたが、是非、愛する人と見に行って欲しいなぁ~って想いました。

    二郎の妹・加代は、『トトロ』のメイが大きくなったような感じ、そんなのも嬉しかった。

    純愛、女性は自分の一番の美しい時を、好きな人に残して逝くものなのかもしれない。

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    私的『風立ちぬ』

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    実は賛否が分かれるところ、この映画を反戦映画だと思うか、否か。
    私は明確に反戦映画だと感じた!
    実は、堀越二郎とカプローニは、メフィストフェレスの話であり、悪魔のカプローニが、堀越二郎に魂をよこせば10年間、好きな飛行機を作る自由を与え、堀越二郎は人を殺す兵器、数多くの人が命を落とした零戦を作った。
    ラストで再び堀越二郎とカプローニが出会うシーンは、煉獄で天国へ行くのか、地獄に堕ちるのか、魂を失い戦後の堀越二郎は何も成し遂げなかったと言われています。

    ② 作り手の強い意思を感じるか? 

    宮﨑駿監督はこの作品をもって長編アニメの制作から引退しました。
    もしからしたら復活も・・・と思いつつも、宮﨑駿監督は、最後の最後に子供向けではなく、大人向け=実は自分の好きな映画を作りました。
    宮﨑駿監督は、この作品で「自分はアニメを作ることが好きで好きでたまらない」と隠しもせずに描き続けました。
    映画自体が、監督そのものなのです。
    だから、宮﨑駿監督は、試写で初めて見て、自分の作品に初めて涙したのです。

    ③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    主演の堀越二郎の声に、全く素人の庵野秀明監督(新世紀エヴァンゲリオン)にこだわり、そこがこの作品の良さでも有ります、堀越二郎と宮﨑駿、そして庵野秀明、これが共通言語になってるのです。

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    ④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    ジブリのアニメにハズレは有りません!
    映像の素晴らしさはもちろんなんですが、やっぱり宮﨑駿にメカを描かせるとやっぱり良い。
    そして実写ではなくアニメにする意味、と言うものを感じさせてくれます、特に関東大震災のシーンは見事です。
    サウンド・エフェクトも人の声で作っています。

    ⑤ エンターテイメント性

    宮﨑アニメの真骨頂、裏にテーマ性を隠しつつも、楽しさを前面に出した作りになっています。
    ただ、子供受けはしなかったようですが(笑)

    ⑥ 演出が素晴らしいか?

    映画らしさ、とも被るんですが、今回の作品は実写でやっても良いくらいの大人向けの作品。
    それでも、アニメとしてやる価値、表現力・演出がふんだんに見ることが出来ます。

    ⑦ 脚本が素晴らしいか?

    原作の「風立ちぬ」をベースにしながら、全く別のテーマやモチーフを持ち込んで、見事に作品にしています。
    そして宮﨑アニメとしては、初めての大人のラヴ・ストーリー、それも見事に物語にしてました。

    ⑧何度も見たくなるか?

    宮﨑アニメはどれも、もちろんこの作品も何度も観たくなります。
    おそらくアニメという枠をはめることで、非現実的な世界に誘い込み、エンターテインメントとして楽しませてくれるんだと感じます。

    映画『風立ちぬ』のデータ

    the wind rises

    監督■宮崎駿
    プロデューサー■鈴木敏夫
    制作■星野康二/スタジオジブリ
    原作■宮崎駿
    脚本■宮崎駿
    作画監督■高坂希太郎
    動画検査■舘野仁美
    美術監督■武重洋二
    色彩設計■保田道世
    撮影監督■奥井敦
    編集■瀬山武司
    アフレコ演出■木村絵理子
    音楽■久石譲
    音響演出■笠松広司
    主題歌■荒井由実『ひこうき雲』
    整音■笠松広司

    声の出演:庵野秀明(堀越二郎)/瀧本美織(里見菜穂子)/西島秀俊(本庄季郎)/西村雅彦(黒川)/スティーブン・アルパート(カストルプ)/風間杜夫(里見)/竹下景子(二郎の母)/志田未来(堀越加代)/國村隼(服部)/大竹しのぶ(黒川夫人)/野村萬斎(カプローニ)

    『風立ちぬ』公式サイト

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    【解説】
     宮崎駿が月刊模型雑誌『モデルグラフィックス』に連載していた漫画を自らアニメ映画化。零戦こと零式艦上戦闘機の設計者として知られる堀越二郎の半生をモチーフに、同時代の作家・堀辰雄の小説『風立ちぬ』のエピソードを盛り込みつつ、戦争という激動の時代の中で様々な矛盾を抱えながらも飛行機という自らの夢と欲望に真摯に生きた一人の青年技術者の人生を、リアリズムの中にも大胆な省略や夢と現実を行き来する自在な語り口で描き出す。声の出演は、主人公・堀越二郎役に「ヱヴァンゲリヲン」シリーズの監督でこれが声優初挑戦の庵野秀明、ヒロインの里見菜穂子役にTV「てっぱん」の瀧本美織。
     少年時代に夢の中で憧れのカプローニ伯爵と出会い、飛行機の設計士になることを決意した堀越二郎。1923年、東京帝国大学に進学するため上京した彼は、列車の中で里見菜穂子と出会い心惹かれる。そしてその移動中に関東大震災に遭遇、混乱の中で菜穂子とお供のお絹を助ける。卒業後、晴れて三菱内燃機株式会社への入社を果たした二郎は、念願の設計士としての道を歩み始める。しかし視察したドイツのユンカース社で技術力の差を痛感し、設計主務者に選ばれた七試艦上戦闘機のテスト飛行も失敗に終わる。1933年夏、失意の中で軽井沢を訪れた二郎は、そこで菜穂子と運命の再会を果たす。(映画データベース – allcinema より)