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  • 映画『コックと泥棒、その妻と愛人』 食欲と暴力とエロスの究極の映像

    映画『コックと泥棒、その妻と愛人』 食欲と暴力とエロスの究極の映像

    映画『コックと泥棒、その妻と愛人』 THE COOK, THE THIEF, HIS WIFE & HER LOVER

    コックと泥棒、その妻と愛人

    欲望を召し上がれ。

    ブラック・ユーモアの究極!

    あまりに不気味な作品、あまりにもイギリス的なブラック・ユーモアに満ち溢れている。
    傑作とも言えるし、意味の無い作品とも言える、個人的には両方。

    私には、あまりにも人間の欲望をストレートに描きすぎている点がドラマ性を感じさせない。
    そこに描かれる欲望、食欲と性欲だが、この作品では食事をする場所とセックスをする場所を、一つの場所とすることで、表裏一体で有ることを表現しているよう。

    食事をしてはセックスをして、セックスをしては食事をして。
    唯一、欲望を離れて(愛によって)セックスをする場面が、泥棒の妻とその愛人が愛人宅でセックスをするところ。
    しかし、ここでも食事が運ばれてくる。
    結局、愛も欲望の派生物にしか無いのかもしれない。

    泥棒はその味も判らず、一流のフレンチのシェフに料理を作らせ、マナーを知りながらそれを無視して食べ続ける。
    食欲を満足できないと暴れ、性欲を満足できないと暴れる。
    暴力は欲求が満たされない時のはけ口になっている。
    人間の根本をこの監督なりの表現で魅せている。

    もっと俗的な見方をすれば、イギリス人特有のユーモアとも取れる。
    これだけの料理が出ているにも関わらず、イギリス人である泥棒は味も判らない。
    しかしグルメとしての知識が有る、これを皮肉っているとも言える。

    この監督の独特の表現方法は、一見の価値は有る。
    店内を彩るゴシック調、飾られている絵も中世のゴシック画。
    衣装もまたゴシック調のもので、フランスの奇才デザイナー、ジャン・ポール・ゴルチエのもの。
    泥棒の妻が身につけている下着がゴルチエらしいデザイン。

    また部屋によって色彩が変わる。
    レストラン内のブルー、厨房のグリーン、駐車場の暗いブルー、化粧室の白。
    衣装もそれに合わせて色が変わっていく、まるで人間の心を写すよう。
    泥棒の妻の衣装は、レストラン内では赤い衣装、化粧室に行くと白。
    これは反射によるものではなく、衣装自体の配色を変えている。

    ラストは余りにも怖い。
    なんの意味が有るのか?人間を食する、食の究極の姿か?そして食した人間は殺される。

    日本人には生理的に受け付けない、厨房のシーンと共に腐った食材、これらに生理的な嫌悪感を抱く。
    ヨーロッパ人の強烈な文化、肉食文化を感じさせる。

    マイケル・ナイマンの音楽は、この作品の雰囲気をより一層、盛り上げてくれる、秀逸。

    Reviewed in 03.1999

    ヒロインはヘレン・ミレンが演じる

    今更ながらヒロインがヘレン・ミレンであることに気付く、今や大女優。
    1969年に『としごろ』で映画デビュー、舞台女優としての経験も積みながら話題作にも出演、一方で今作品を含む、問題作に出演。

    若い頃の美しさと共にセクシー系女優としても活躍。
    そして2003年にも『カレンダー・ガールズ』でも、60歳目前でのヌードを披露している。

    ご存知のように2006年には、ダイアナ妃の死を巡って窮地に陥った現在のエリザベス女王を見事に演じて米アカデミー賞主演女優賞を受賞している。
    いくつになっても美しく圧倒的な演技力を持った女優。

    映画『コックと泥棒、その妻と愛人』のデータ

    コックと泥棒、その妻と愛人 DVD — Amazonで見る

    THE COOK,THE THIEF,HIS WIFE & HER LOVER 124分 1989年 イギリス=フランス
    監督■ピーター・グリーナウェイ
    製作■キース・カサンダー
    脚本■ピーター・グリーナウェイ
    撮影■サッシャ・ヴィエルニ
    音楽■マイケル・ナイマン
    衣装■ジャン・ポール・ゴルチエ
    美術■ベン・ヴァン・オス/ジャン・ローエルフス
    編集■ジャン・ウィルソン
    出演■リシャール・ボーランジェ/マイケル・ガンボン/ヘレン・ミレン/アラン・ハワード/ティム・ロス/イアン・デューリー/ゲイリー・オルセン/イワン・スチュアート

    <DATA>

     グリーナウェイの名を一躍メジャーに押し上げた作品。

     夜の闇の中、悠然と輝きを放つ高級フランス料理店“ル・オランデーズ”。
     ここではゴシックの食卓画を思わせる絢爛たる厨房で、腕によりをかけたコック達が作る料理が毎夜テーブルに並べられていた。
     この店の一番の顧客は泥棒のアルバートとその美しい妻ジョージナの一行。
     自分の社会的ステータスを人に認めさせたいが為に、アルバートは盗んだ金で贅沢三昧、所かまわず乱行を働く傍若無人ぶりを発揮していた・・・
     この作品は、グリーナウェイの映画が苦手な人でも比較的入りやすい作品であると同時に、人間の持つあらゆる“欲”といったものがいかに醜いかといったことを、絢爛豪華な美術、独特のユーモアセンスで描いた、彼の作品群の中でも「ベイビー・オブ・マコン」と並んで3本の指に入る傑作だ。(一部略) <allcinema>

  • 映画『CUBE』 好奇心と恐怖心、そして絶望、現代社会の縮図を描く傑作スリラー

    映画『CUBE』 好奇心と恐怖心、そして絶望、現代社会の縮図を描く傑作スリラー

    映画『CUBE』 CUBE

    CUBEキューブ

    世界を犯す、騒がしい絶望。
    カナダの恐るべき新鋭がおくる、20世紀の言葉では語れないオーヴァー・ジャンル・ゲーム・ムーヴィー。

    キューブ (字幕版) — Amazonで見る

    既に20年前の作品、VFXがもたらした新しいジャンルのスリラー

    この作品、“オーヴァージャンル・ゲームムービー”と言うらしい。
    そうスリラー、SF、サスペンス、犯罪、脱獄、そしてスプラッタの要素が入り組んでいる。

    まずは、相当怖いスリラー&スプラッタ作品であることが判る。
    いきなり視覚的に、キューブの内部に罠が仕掛けられていることを見せる。
    従って、一つの扉の向こうに何が有るか?観ているものを恐怖に陥れる。

    この作品、映画館で観たら、よっぽど怖かったに違いない、到底、私には怖くて挑戦する気にはなれないけど(汗)

    キューブ内部のデザインは、幾何学的な模様が描かれ、四角い部屋の閉塞感、そして部屋毎に違う過激な色調で、観ているものの感情を不安定にさせる。
    それは内部にいる人間においては尚更だろう。

    この映画の素晴らしい点は、以下の2つの点で楽しめることだろう。
    一つはサスペンス的な要素と言うか、キューブからの脱出劇であろう。
    数学を駆使したトリックは、なかなかユニークで面白い。

    ネタバレになるが(これから観る人は読まないで!)、キューブが移動していること、実は一部屋だけ、26×26×26の部屋の外に一つだけ部屋が余計に有ること...そしてスタートの部屋がゴールで有ること...この意外性、決して新しくはないが、よく考えられている。

    実際、数学的な素数や因数の計算は、知り合いの大学院生が、色々解いているところをみると、発想としてもよく考えられていて面白い。
    この謎解きの面白さ、しかもそれがいつ死ぬか判らないぎりぎりの緊迫感の中で行われている点も、より一層、観るものを楽しませる。
    結果として、キューブの罠に掛かり死ぬのは、冒頭の2人だけ。
    この2人の死が、最後まで恐怖感を煽り続けるのは、その扇情的なキューブ内部の造形に有るのだろう。

    そこでは、無機質さがキーになる。
    この無機質さこそが、2つ目のポイントなる。
    もう一つの楽しみは、人間内部の感情とそれに関わる社会を、この数人の登場人物と限られた空間の中だけで、描いている点である。
    キューブ自体の存在を言及する際、目的が有って作られたものではないこと。
    作った人間は、その一部しか、その存在を知ることがないこと。
    そして、誰が作らせたのか?自分たちが何故、その内部に居るのか?それ自体、何も意味がなく、社会と同じく既にそこに存在し、その中で生きていかなければならないこと(ここでは無事脱出する事)。

    出口が見つかった際に、一人の男が出ることを拒む。
    それは実社会に戻る意味がないと。
    そうキューブ自体が社会を切り取っている、それも見事なまで無機質な部分だけを。

    全員の服装は作業着のみとされ、指輪も外されている。
    ただ(キューブ内での)生活に必要な眼鏡だけが残されていた。
    究極な無機質な状態に人が追い込まれることによって、実社会では隠されていた人間の本質(あるいは本性)が如実に現れてくる。
    模範的な人間だと思われていた男が、殺人鬼に変貌していく。
    それは人間が社会の歯車でしかないと知った時に、自分自身を見つめ直し、そこに残った本質が行動となって現れているようだ。

    ラストの光の中に脱出していく様は、脱出の喜びやある種の希望よりも、むしろ、これからの実社会という新たな迷路への恐ろしい前兆を感じさせる。
    単なる“オーヴァージャンル・ゲームムービー”と言うだけではなく、見事に人間性までも描いた作品と言え『ガタカ』等と並ぶ新しい感覚の近未来SF作品である。

    監督はカナダ人のヴィンチェンゾ・ナタリと言う人で、今までは短編映画でその才能を発揮し、SF映画『JM』で絵コンテを担当した人らしい。
    今回、キューブ内のデザインの一部も彼が行ったらしい。
    セットのキューブは、1つ半が作られ、キャストは7名、残りはCGを駆使、製作費も日本円にして約5,000万円という超低制作費。

    短編『エレヴェイテッド』

    Elevated 1997年 カナダ
    監督■Vincenzo Natali Genre
    出演■Vicki Papavs….Ellen/Bruce McFee….Ben/David Hewlett….Hank Country

    付録として?ビデオには、ナタリ監督のデビュー前の短編作品が収められていました。
    エレベータと言う限られた空間内で、見知らぬ人たちが、お互いを疑う『CUBE』にも見られた、人間の本質をここでも描こうとしているのが見える。

    但し、短編と言うことや試行錯誤の部分が見られるので『CUBE』程の完成度は見られない。
    サスペンス映画を試行した作品としては面白い。
    『ゾンビ』を思い出してしまう展開は、やはりメジャー・デビューをする監督としては、通り道的な作品。
    デビッド・ヒューレットは、この後『CUBE』にも出演。

    Reviewed in 06.1999

    映画『CUBE』のデータ

    CUBEキューブ Blu-ray — Amazonで見る

    CUBE 91分 1997年 カナダ

    監督■ヴィンチェンゾ・ナタリ
    製作■メーラ・メー/ベティ・オアー
    製作総指揮■コリン・ブラントン
    脚本■ヴィンチェンゾ・ナタリ/アンドレ・ビジェリク/グレーム・マンソン
    撮影■デレク・ロジャース/スコット・スミス
    音楽■マーク・コーヴェン
    編集■ジョン・サンダース
    美術■ダイアナ・マグナス
    SFX監督■ボブ・マンロー/ジョン・マリエラ
    特殊メイク■カリガリ・スタジオ
    SFX■C.O.R.E.デジタル・ピクチャーズ
    出演■モーリス・ディーン・ウィン/ニコール・デボア/デヴィッド・ヒューレット/ニッキー・ガーダグニー/アンドリュー・ミラー/ウェイン・ロブソン/ジュリアン・リッチングス

    <DATA>

     奇抜なストーリー、斬新なビジュアル・センスで話題となったカナダ産異色サスペンス。
     謎の立方体(=CUBE)に閉じこめられた男女6人の脱出劇を、緊迫感漲る演出で描く。
     ゲーム感覚の謎めいた物語やシュールな美術・SFX等を駆使し、人間の闇部を抉った秀作。

     ある日突然、密室に閉じこめられた6人の男女。
     それは正方形の巨大な立方体だった。
     いったい何のために作られたものなのか、なぜ自分たちが閉じこめられたのかは誰も知らない。
     脱出方法は6つあるハッチのいずれかを選び、同じ立方体でつながっている隣に移動しながら出口を探す以外ないが、いくつかの部屋には殺人トラップが仕掛けられていた。
     そんな中、やがて彼らは安全な部屋を示す“暗号”に気づくが・・・。 <allcinema>

     目が覚めると、四角い部屋の中。
     そこは一辺が約5メートルで、6つの壁面にはそれぞれ隣の部屋に通じるハッチがある。
     そんなキューブの中で偶然に出会った6人、刑事のクエンティン(モーリス・ディーン・ウィント)、数学が得意な女学生レブン (ニコール・デボアー)、女医のハロウェイ(ニッキー・ガーダグニー)、謎の男ワース(デビット・ヒューレット)、精神病者のカザ ン(アンドリュー・ミラー)、脱獄囚のレン(ウェイン・ロブソン)、ここは一体どこなのか、いつから何のためにここにいるのか、外に出ることは出来ないのか、密室に閉じこめられた彼らは葛藤の中で、体力と知力を振り絞りキューブからの脱出を試みるが・・・。

  • 映画『暗黒女子』 清水富美加 飯豊まりえ Wの魅力!

    映画『暗黒女子』 清水富美加 飯豊まりえ Wの魅力!

    映画『暗黒女子』

    わたし以外、
    幸せになるのは、
    許さない。

    あなたの予測をすべてブチ壊す
    驚愕のラスト24分

    イヤミスの傑作!「全員悪女×ダマし合い」裏切り!エンターテインメント
    2017年4月1日(土)エイプリルフール全国公開!

    イントロダクション

    今、話題の若手女優たちが集結!ということで、事前情報なしに「女の子たち」を観に行こう!

    もうネタバラシとしか言いようのないコピー「驚愕のラスト24分」は確かに意外な展開の連続。

    暗黒女子とは―キラキラと美しい表の顔とは別に、恐るべき裏の顔を持つ<女の子>のこと。
    全員悪女・嘘つき・ダマし合い―全てが逆転する圧巻の<結末>も見もの。
    そして読んでイヤな気持ちになる最悪の結末だが、後味が悪ければ悪いほど“クセ”になってしまう魅惑のミステリー――それが<イヤミス>。

    何の知識もなく見ていくと、予想外の展開に何となく、次はこうなるのでは?と予想ができてくるが、本当にその読みがラストにヒックリ返されて、後味が悪い!
    でも、演じる彼女たちが可憐過ぎて、それもまた面白い。

     

    清水富美加と飯豊まりえの魅力、全開!

    最近、テレビや映画、CMでよく見かけるなぁ~という若手女優の魅力が全開。
    それでも主演の二人、清水富美加と飯豊まりえの二人が圧巻。

    終始、妖しい雰囲気を醸し出す清水富美加は、私が試写で見た直後に驚愕の引退劇!なんかもう、作品と共にビックリ!
    虫も殺せない表情で残酷なことができる、みたいな今回の役どころを見事に演じてるのを見ると、これからの・・・を期待していたけど、この作品で見納めかもしれないので、絶対に見たほうが良い。

    天使と悪魔を演じきる飯豊まりえも魅力的、そして女の顔を見せる表情も少女から女への変化を見事に演じていた、と言うか、本人がまさに真っ只中。

    彼女たちと赤丸急上昇中の若手俳優・千葉雄大の競演。

    彼女たちを楽しむもよし、ラストのどんでん返しに騙されるもいいかも~

    私的『暗黒女子』

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    作品のコピーにあるように、思春期の女の子たちの「自分以外の子が幸せになるは許せない!」のまんま、たった一度しかない青春の1ページを自分の最高にしたい、そんな乙女心を描いている。

    もちろんミステリーだから、そこを上手く逆手にとった作品。
    異性との恋愛よりも、同性の愉しみのほうが大切な訳。

    ② 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    清水富美加と飯豊まりえを楽しみましょう~

    いや、アノ件の前ですからね見たのは、邪念はありません(笑)清水富美加って本当に色っぽく妖しい役をうまく演じるなぁ~って感心。

    でも個人的には、飯豊まりえの前半後半そしてラストの変化が良かった。

    もちろん、他の女優さんたちも、見せ場があって面白い、作品の個性に上手く合っている。

    ③ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    この手のサスペンスは、映画でイッキ見が◎
    ということで、エンディングの驚愕ぶりも含めて、テレビじゃなくて映画で見たい作品。

    ④ エンターテインメント性

    ヒッチコックが何故サスペンスばかりを撮るのか?そして何故美女ばかりをいじめるのか?

    ある意味、サスペンスと美女(美少女たち)はエンターテインメントの基本かもしれない。
    にしても、こんなにカワイイ女性とばかりの学園ってあるのか?千葉雄大(演じる先生)じゃなくとも、それゃぁ~手を出す・・・

    ⑤ 脚本が素晴らしいか?

    原作もの、登場人物が物語を語る、それがそれぞれの視点で物語を進行させて行く、映画『告白』(の原作といった方がよいか)の手法がここでも使われている。
    そう言えば、『お嬢さん』も同じ手法。

    そして、予想外の展開になれたところで、更に予想外の結末に転んで行くところは見ごたえがある。

    ⑥ 何度も見たくなるか?

    最近の日本映画では『イニシエーション・ラブ』のように、2度は見て確認したくなる。
    サスペンスとしてのドキドキ感は味わえるのも、間をおいて見ると面白いかも。

    それと、彼女たちの成長の過程として、またしばらくしたら見たくなるような感じ。

    映画『暗黒女子』のデータ

    上映時間■105分
    製作国■日本
    公開情報■劇場公開(東映/ショウゲート)
    初公開年月■2017.4.1.

    出演■清水富美加/飯豊まりえ/清野菜名/玉城ティナ/小島梨里杏/平祐奈/升毅/千葉雄大
    監督■耶雲哉治
    脚本■岡田麿里
    音楽■山下宏明
    主題歌■Charisma.com「#hashdark」(ワーナーミュージック・ジャパン)
    制作プロダクション■ROBOT 
    原作■秋吉理香子『暗黒女子』(双葉文庫)

    コピーライト■© 2017「暗黒女子」製作委員会 © 秋吉理香子/双葉社

    公式サイトはこちら

    【作品紹介】
    あなたの予測をすべてブチ壊す 驚愕のラスト24分! 学園一の美少女を殺したのは誰?
    イヤミスの傑作!「全員悪女×ダマし合い」裏切り!エンターテインメント

    学園のカリスマ“白石いつみ”の謎の死――「この中の誰かが彼女を殺した。」
    セレブ女子高生たちが通う、聖母マリア女子高等学院。ある日、学院の経営者の娘で、全校生徒の憧れの的だった〈白石いつみ〉が謎の死を遂げる。校舎の屋上から落下したのだが、自殺か他殺か、事故なのかもわからない。やがて、いつみが主宰していた文学サークルの誰かが彼女を殺したという噂が立つ。
    いつみの親友だった澄川小百合がサークルの会長を引き継ぎ、部員が自作の物語を朗読する定例会を開催する。今回のテーマは、「いつみの死」。それぞれを“犯人”と告発する作品が発表されていく。
    物語は5つ、動機と結末も5つ──果たして真実はあるのか?

    イヤミス界の新時代を切りひらく、“裏切り”エンターテインメント!
    読んでイヤな気持ちになる最悪の結末だが、後味が悪ければ悪いほど“クセ”になってしまう魅惑のミステリー――<イヤミス>。今や一大人気ジャンルとなったイヤミス界に新たな旋風を起こし、発売直後から「この結末には完全にヤラレた」と中毒者が続出した、秋吉理香子の小説「暗黒女子」が、ついに映画化。
    物語が進むにつれて、事件の真相だけでなく、登場人物全員の<黒い秘密>も暴かれていく。美しすぎる女子たちの抱えた<まぶしい暗黒>が解き放たれる時、衝撃と陶酔が一つになる密室ミステリー。5つの告発の果て、史上最悪のラストには、あなたも完膚なきまでにダマされる――!

    © 2017「暗黒女子」製作委員会 © 秋吉理香子/双葉社

  • 映画『怒り』  レイプとゲイのラブ・シーンだけではない!

    映画『怒り』 レイプとゲイのラブ・シーンだけではない!

    映画『怒り』  怒りのない怒りとは

    怒り

    あなたは殺人犯ですか?

    映画『怒り』 Blu-ray豪華版 [渡辺謙]

    とにかく俳優たちの演技がイイ!

    大人のための大人の映画。
    今年は『シン・ゴジラ』が大人のための童心に帰る映画、『君の名は。』は全ての世代に送る青春映画なら、この作品は大人がじっくりと見れる作品。

    ただとっても暗い作品だから、これだけの俳優陣じゃないと単なる地味な作品になっちゃったかも。
    個人的には、女優陣全員が素晴らしかった!と思う。

    この作品は、完全な謎解き映画では無いんですが、一応、サスペンスなのでネタバレになるかもしれないので、後半は映画を観てから読んで下さいm(__)m

    怒り

    イントロダクション

    『悪人』(’10)の李相日監督×吉田修一原作のコンピが再びタッグを組んだ作品。
    『悪人』で日本アカデミー賞をはじめ、国内の映画賞を総ナメにしてから6年、音楽に坂本龍一を迎え、原作者・吉田修一が「物語の登場人物には、映画『オーシャンズ11』のようなオールスターキャストを配してほしい。」と言う希望にそって、日本を代表する7人の豪華俳優陣が集結!

    この配役も絶妙、もちろんその迫真の演技が素晴らしい。
    「愛した人は、殺人犯なのか?」
    “人を信じる”と言う人間の本質を問いかける感動作、予備知識はこのへんにして是非見て欲しい作品。

    これ以下はネタバレになるかもしれないので、映画を観てからお読みください~

    怒り

    私的『怒り』

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    タイトルの「怒り」は何だったのか?を考える作品。
    犯人の怒りは見事なまでに意味がなく、殺人の動機すら存在しない。
    テーマとしては「人を信じる」ことを問われる、人を信じると裏切られ、人を疑うと亀裂が生まれ、人間は純粋に人を信じることはできないのだろうか?と。
    今の世の中は複雑になり過ぎて、人を簡単に信じることが出来ない世の中なのかもしれない、それに対する大いなる「怒り」がある。

    社会が複雑になり「根拠のない怒り」が人間不信を呼び、改めて人を信じることを思い出すことに、ラストの大きな感動が有った。

    ② 作り手の強い意思を感じるか?

    『悪人』では一つの犯罪を、それぞれの立場の視点から見た場合に、その真実とはどこにあるのか?と言う物語だった。
    今の世の中に 「人を簡単に信じてしまうこと」の怖さ、「人を信じることができなかったこと」の不幸を問いかける、李相日監督と吉田修一原作に込められた強い時代性を感じる。

    ③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    とにかく全ての俳優たちが素晴らしかった。
    特に女優陣、ヒロインの宮崎あおい、広瀬すずが迫真の演技、ここまでするか?!と言う体当たりの演技。
    また出演時間は短いが、高畑充希、池脇千鶴の存在感も良かった。
    それにしても広瀬すず、彼女の天才性は監督によって磨かれる、もちろん他の主演作品での可愛らしい(だけの)役柄も良いけど、『海街Diary』とは別に意味で素晴らしい演技をしていた。
    今回は体当たりで、米兵にレイプされるシーンを演じている、もちろん広瀬すずの表情だけで表現している訳だが、それでも生々しいのは、彼女の処女性の裏返しを上手く利用している。
    そして宮崎あおい、彼女はあるゾーンに入ると物凄い演技をする、今回はで出しからラスト近くの一点を見つめるシーンまで狂気すら感じる演技だった。
    冒頭の風俗嬢の姿で、ノーメイク(用のメイク)でボーッとしているところから、この作品に対する入れ込みようが感じられる。

    最後に妻夫木聡、『悪人』で李相日監督にその才能を開花させられた俳優だが、この作品でも見事なツボを押さえていてゲイ役を見事に演じてみせていた(相手役の綾野剛のカメレオン俳優ぶりも良いけど)。
    妻夫木聡もエリートサラリーマンでゲイらしい嫌らしさを感じさせてくれたし、受けのゲイぶりの綾野剛も良かった。

    怒り

    ④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    百聞は一見にしかず、と言うのは映画には重要な点だと思う。
    最後(近く)まで犯人の顔を映さずに(3人の顔を合成したものだと思うけど)公開写真だけが見せられる。
    映像から想像をふくらませる。

    そして3ヶ所の場所ごとの映像が美しく、俳優たちの演技を映えさせている。

    ⑤ エンターテインメント性

    大人のためのエンターテインメントであり、決して明るい話ではない。
    理不尽な怒りによる慟哭が描かれる。

    一方でそれを見事に演じた俳優たちと背景となる舞台の映像の美しさのコントラストが見事で、これは映画ならではエンターテインメント性と言える。
    久々に好きな絵(映像)の作品でもあった。

    にしても、前半の新宿?のゲイの世界を丹念に見せるところも生々しい、特に白い肌の綾野剛(これも隠れて逃げ回る犯人を予感される)に対して、黒光りしている妻夫木聡の肌がコントラストを醸し出してイヤラシイ、それも楽しいと取るか?個人的には苦手なんだけど。

    ⑥ 演出が素晴らしいか?

    142分と言う長尺な作品でありながら、その長さを感じさせない。
    編集を最初から頭に入れた演出がなされている点、そしてあまりに役にハマった役者を選んでいるが、実は少しずつ今までの演技と外している。

    渡辺謙の抑えた演技、少女的な宮崎あおいにはスッピンでの演技、可愛らしさだけではなく悲しみ演じた広瀬すず、いつもの泣きの演技だけではなく見事なゲイを演じきった妻夫木聡。

    そして3ヶ所を同時進行で話を進める上で、安易に性風俗に走る女性、ゲイの実態描写、米軍基地と米兵による暴行問題などをバランス良く配置している。

    ⑦ 脚本が素晴らしいか?

    3つの同時進行の話を、場面(場所)が変わる時に似たようなアイテムを挿入して違和感なく繋いで見せる、と言った手法も入れている。
    3つの場所で進行する物語の繋ぎが上手く、しかもテンポが良くなっている。
    それがこの尺でも、ダレることなく緊迫感もありつつ見続けることができる。

    ⑧何度も見たくなるか?

    重く辛いテーマの作品、流石に繰り返し見たいか?と言われると。
    でも犯人の「怒り」は何だったのか?それは時代で変わるものかも?また観て確認してみたい。
    そして、なんと言っても演技を見るだけでも価値がある、それは何度でも。

    原作者としての吉田修一は、犯人は3人のうちの誰か?と言うサスペンスを求めていた。
    しかし映画の観客としては、ホクロの話から素性まで、実は3人が同一人物で映画のトリックで別の時間を同時進行として見せられているのかな?とも思わせる。
    いや、逆に一連の怒りと考えると、犯人の怒りの意味もひも解けるのかも?

    映画『怒り』のデータ

    怒り

    監督・脚本■李 相日
    原作■吉田修一(「怒り」中央公論新社刊)
    企画・プロデュース■川村元気
    撮影■笠松則通
    音楽■坂本龍一
    出演■渡辺謙/森山未來/松山ケンイチ/綾野剛/広瀬すず/宮崎あおい/妻夫木聡
    公開情報■2016年9月17日 全国東宝系にてロードショー

    映画『怒り』 [ 渡辺謙 ]

    【作品紹介】
    ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が起こった。
    窓は閉め切られ、蒸し風呂状態の現場には、『怒』の血文字が残されていた。

    犯人は顔を整形し、全国に逃亡を続ける。その行方はいまだ知れず。
    事件から一年後。千葉と東京と沖縄に、素性の知れない3人の男が現れた。

    いったい誰が犯人なのか?
    あなたを信じたい。
    そう願う私に信じたくない結末が突きつけられる―――。
    (C)2016映画「怒り」製作委員会

  • 映画『地獄に堕ちた勇者ども』 リアリズムからデカダンへ、ナチズムを描く

    映画『地獄に堕ちた勇者ども』 リアリズムからデカダンへ、ナチズムを描く

    映画『地獄に堕ちた勇者ども』 LA CADUTA DEGLI DEI

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    ヴィスコンティに取っての集大成と言える

    時代がナチの時代に移行しようとする中で、滅び行く古い階級の人々のしがみつく姿が象徴的な描かれる。
    また、それを壊す象徴的な事件として、息子による母親の強姦のシーンが有る。
    旧時代の上流階級も、ナチズムも人間の中に有るもの“欲求”の一部でしかない。
    それがぶつかり合った時に、強いものが弱いものを駆逐する・・・その時の弱いものの悲劇、また、そこには強いもの達にも悲劇が有ると・・・
    この作品では、ヘルムート・バーガーの女装シーンなど1920年代のヴィスコンティのパリでの文化的影響も強く見ることが出来る作品でもある。

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    ヴィスコンティの大きな転換期を迎えた作品と言えよう。
    彼の『山猫』がリアリズモの時代から退廃と言った時代への転機としたら、この作品で見事にヴィスコンティは変わったと言える。
    この作品のテーマはナチズム(=ファシズム)で有る。
    それはヴィスコンティの中の退廃と言うものを一番表現したものかもしれない。
    ヴィスコンティは人間の欲望と言うものを、これ以降の作品の中で一貫して描いていく。
    この作品でのナチズムは人間の欲望の象徴である。
    アッシェンバッハが、マルチンに「フリードリッヒはナチズムの本質が判っていない」と言う。
    ヴィスコンティの人生において、第二次世界大戦を経験し彼は一時期、共産党の戦士としてファシズムと対峙する。
    この物語もドイツがワイマール憲章による民主国家が、ロシアの共産主義の脅威にさらされて、その反動で右傾化した事がナチズムの台頭を生んだ。
    しかしその本質として、何故、ナチズムがこれ程までにドイツの中で蔓延ったのか?それを、ヴィスコンティは鋭く映像化している。

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    それは人間の本質的なところに有るのだ!
    人間の欲望を膨らませること、そして必ずその欲望を実現すること...そのためには手段を選ばないこと。
    誰にでも存在する“欲望”、その恐ろしさこそがナチズムの恐怖そのものなのだ...
    ヴィスコンティの凄いところは、その欲望の表現手段に有る。
    見事なまでに人間個々の欲望、フリードリッヒの権力欲で有り、ソフィの独占欲で有り、アッションバッハの権力欲で有り、マルチンの倒錯的な愛欲...それら全ての欲望を飲み込んでしまう。
    そして明確な形が無いまま増殖する...
    そうナチズムは、それそのものが“欲望”なのである。

    damned

    ヴィスコンティは、一見、ナチズムを優美で甘美に描いているようにも見える。
    ナチの黒と赤の制服、美しい食卓、可愛い少女達...またナチと権力争いをしていた突撃隊の粛正...突撃隊も一方で“欲望”が生み出した怪物。
    しかしナチの怪物の前に喰われてしまう運命であったのだ...
    その欲望が余りにも美しいことがナチズムの誘惑であり、それを表現し得るのはヴィスコンティしかいない...
    恐ろしくも美しい、美しいから恐ろしい...そんな作品である。

     

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    The Damned
    La Caduta Dei 157分 1969年 イタリア/スイス/西ドイツ(現ドイツ)

    監督■ルキノ・ヴィスコンティ
    製作■アルフレッド・レヴィー/エヴァー・ハギャッグ
    原案・脚本■ルキノ・ヴィスコンティ/ニコラ・バダルッコ/エンリコ・メディオーリ
    撮影■アルマンド・ナンヌッツィ/パスカリーノ・デ・サンティス
    音楽■モーリス・ジャール
    編集■ルッジェーロ・マストロヤンニ
    美術■パスクァーレ・ロマーノ
    衣装■ピエロ・トージ/ヴェラ・マルツォ
    助監督■アルビーノ・コッコ/ファニー・ヴェスリンク
    製作会社■ペガソ・イタルノレッジオ/プレジタン/アイヒベルク・フィルム
    備考■テクニカラー
    日本公開■1970年
    出演■ダーク・ボガード/イングリッド・チューリン/ヘルムート・グリーム/ヘルムート・バーガー/ルノー・ヴェルレー/ウンベルト・オルシーニ/ルネ・コルデオフ/アルブレヒト・ショーンハルス/フロリンダ・ボルカン/ノラ・リッチ/シャーロット・ランプリング

    1969年アカデミー賞
    脚本賞ノミネート ルキノ・ヴィスコンティ/ニコラ・バダルッコ/エンリコ・メディオーリ

    【解説】
     ヴィスコンティのドイツ三部作の巻頭を飾るのは、第三帝国の隆盛と共に崩壊に向かっていく鉄鋼王国一家の悲劇をオペラ的に描く頽廃の叙事詩である。ドイツの工業中心地帯、ルール地方に権勢を誇る製鉄王、男爵エッセンベック老の誕生日に一族郎党が集まる開幕からして実に怪しい雰囲気で、老男爵の財産を皆が虎視眈々と狙っているのが一目にして分かる。ナチス躍進の33年2月のことだ。おりしもベルリンで国会議事堂焼き討ちの報が入り、不気味さは増す。やがて男爵は、従弟のアッシェンバッハ(グリーム)の差し金で邸内に乱入した親衛隊の騒動の中、娘ソフィ(チューリン)とは愛人関係にある総支配人フリードリヒ(ボガード)の手で射殺され、大コンツェルンの実権は彼らに握られる。アッシェンバッハは更に、目障りな親族たちを片端から始末し、男爵の甥の息子ギュンター(ヴェルレー)はナチに引き入れ、ソフィの息子マーティン(バーガー)の偏執的な性格を利用し、母とその愛人を毒殺させる。が、自分のしでかしたことの重みに耐えかねマーティンも自殺し、遂にナチ以外の一族郎党は消え失せ、エッセンベック邸の広間には巨大ハーケンクロイツの旗が飾られる。凄惨美というのか、ここに描かれるナチズムの恐怖は、作者の意図に反して、浪漫的なものと受け止められてしまっている節もあるが、実に堂々たる滅びの美学の中に潜む諧謔を見逃してはならない。にしても、バーガーが絶望的享楽に耽るシーンの妖しいこと……。(映画データベース – allcinema より)
    第二次世界大戦中『郵便配達は二度ベルを鳴らす』によって、ネオ・レアリスモの口火を切った、ヴィスコンティ監督が、大戦前のドイツを舞台にナチズムによって富と権力を奪われていく、鉄鋼一族の悲劇を描きながら、歴史そのものまで語り尽くした集大成とも言える作品。
    監督自身“今の若い人々に戦争の恐ろしさを知って貰うために、この映画はもっと早く作られるべきであった”と語っている。
    ナチスが台頭し始めた1933年の冬、ルール地方に勢力を持つ鉄鋼王、エッセンベック家の集いの夜、当主が何者かの陰謀によって暗殺される。
    この事件を契機に起こる、一族の跡目相続の骨肉の争いと、それによって漁夫の利を得ようとする陰険なナチス親衛隊の存在を描き出す。
    『ベニスに死す』へ続くドイツ三部作(’72年の『ルードウィヒ/神々の黄昏』で完結)の最初に位置するこの作品で、ヴィスコンティは人間の愛憎と相剋をデカダンスの極致とも言える映像美で浮き彫りにする。