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  • 映画『愛情物語』とノクターンと私のニューヨーク

    映画『愛情物語』とノクターンと私のニューヨーク

    映画『愛情物語』

    THE EDDY DUCHIN STORY 123分 アメリカ 1956年

    悲劇の天才ピアニスト エディ・デューチンの 妻と子と音楽に捧げた限りない愛の人生–
    静かな感動が…暖かい心のふれ合いが 数々の名曲とともに いま甦る不朽の名作

    ハリウッド黄金期の古き良き映画、涙無くして見られない

    ハリウッド映画はハッピー・エンドという固定概念があるが、実はこの作品も含めて、ハリウッド黄金期(1940年代~1950年代)の美男美女映画は、意外と悲恋とか泣ける映画が多い。
    この作品も涙無くして見られないそんな作品になっている。

    そう1950年代の古き良きハリウッド映画です。
    監督は名匠ジョージ・シドニー、主役にはタイロン・パワーとキム・ノバクの二人。
    実際にいた不世出と言われた名ピアニスト・エディ・デューチンの伝記物語。

    主人公エディが無名な新人時代から、ニューヨークで成功して華やかな生活、愛妻の死、そして新しい恋人とはほろ苦い恋、息子との心の葛藤など、波瀾万丈な人生を送る感動のドラマ。

    なんといっても44歳で亡くなったタイロンパワーの2枚目ぶりが光る、彼の晩年の作品だが一番脂の乗っていた時期でもあった。
    そしてヒロインのキム・ノバクは『ピクニック』『黄金の腕』『夜の豹』『めまい』『媚薬』と一番美しい時期にこの役を演じている。

    私の想い出

    私が両親に連れて行ってもらった初めての洋画だと思う。
    (この後に『奇跡の人』『暗殺者のメロディ』を二本立てで見た記憶がある)

    もちろん1956年の映画なので、リバイバル上映で見たはずだが、シートが満席で両親は立って、当時小学生の低学年だった私は、通路に座って見た記憶がある。

    この作品を見ながらボロボロ泣いた記憶があり、そしてこの作品をキッカケで、ハリウッド映画にのめり込んでいった最初でもあった。
    この時期は、淀川長治さんが日曜洋画劇場をやっていたのと、確かイレギュラーで22時台スタートの白黒ハリウッド映画を放送していた気もする(未確認)。
    深夜帯にSONY一社で、途中にCMを入れない映画の放送もしていた。

    と言うことで、この作品は『慕情』や『めぐり逢い』『哀愁』といった美男美女たちの悲恋の虜になる第一弾であった。

    私的『愛情物語』

    テーマが有るか?共感できるか?

    人生の悲劇を描いている、そして人はいい時もあれば必ず苦しい時も訪れる。

    それでも人は生きていかなくてはいけない。
    本当に辛いのは、周りの人間たちなのかもしれない。

    主人公とヒロインが美男美女と言うこともあるが、貧乏人からはい上がると言うアメリカン・ドリームを手にする主人公に観客は共感せずにはいられない。

    貧しい彼を盛り上げたのは、ニューヨークで既に実業家として成功していたヒロインのキム・ノバクであった。
    成功には必ずそれをサポートするパートナーが現れるものだ。

    作り手の強い意思を感じるか?

    この頃のハリウッド映画は、美男美女を使って夢のようなメロドラマを作り上げている。
    実際、美男美女だからその悲しみの深さや喜びが伝わる場合もある。
    この際作品はだからこそ成立するのかもしれない。

    俳優の意思や演技力が伝わるか?

    タイロン・パワーはすでにこの時40代であるが、劇中で若い頃から年配までの主人公を演じきっている。
    後半は彼の実年齢に近づき、中年の渋みも加わり大人の恋愛を魅せて圧倒してくる。

    映画らしい楽しさが備わっているか?

    この作品はハリウッド黄金期の華やかさがあり、その上で最後に悲劇が訪れると言う脚本も素晴らしい。

    ハリウッドスターを揃えているという点でも、ハリウッド映画黄金期の最も華やかな美しい時代の作品とも言える。

    エンターテインメント性

    この作品では実際にエディー・デューチンの見事なピアノの調べが使われている。
    もちろん引いてるシーンにおいてはタイロンパワーがあたかも弾いているかのように演じきっている。

    この映画の最大の見どころは、やはり使われている音楽のノクターンのメロディにあると思う。

    演出が素晴らしいか?

    印象的なシーンが散りばめられている。

    新人の頃はピアノ途中で明け渡す時に椅子から落とされたり、少し笑えるしまったりする。
    一方でラスト近くになるとグランドピアノを二台並べて演奏するシーンで、交互に親子の表情が映し出されいるが、病気になった父親は途中で姿を消していく。
    そして部屋からカメラが家の外に出て行く、父親がいなくなることを象徴している演出でもある。

    脚本が素晴らしいか?

    ハリウッドスタイルのこの脚本については申し分ない。
    主人公がいくつもの困難を乗り越えて、それでもラストに悲劇が待っている。

    起承転結の他にもターニングポイントとなる中間地点で、愛する一人目の妻(キム・ノバク)を亡くす主人公。
    ラストは涙をなくしてみる事はできない。

    何度も見たくなるか?

    これぞハリウッド黄金期!2人の美男美女の演技を見るだけでも楽しい!
    さらに音楽も素晴らしくノクターンは最も好きなピアノの一曲でもある。

    私が新婚旅行でニューヨークを訪れた時に、ブルックリン橋の近くのピアノバーで、ノクターンの演奏をリクエストしたのが想い出である。

    映画『愛情物語』のデータ

    映画『愛情物語』

    監督■ジョージ・シドニー
    脚本■サミュエル・テイラー
    撮影■ハリー・ストラドリング
    音楽■モリス・ストロフ
    オリジナル音楽■ジョージ・ダニング
    ピアノ演奏■カーメン・キャバレロ
    出演■タイロン・パワー/キム・ノヴァク/ヴィクトリア・ショウ /ジェームズ・ホイットモア/ジャック・アルバートソン

    【解説】
     ピアニストとして生計を立てようとニューヨークにやって来たエディ。
     彼は資産家の令嬢マージョリーに見出され、オーケストラで演奏することに。
     また、2人の間には恋が芽生え、結婚。やがて息子ピーターが生まれたエディは、順風満帆な人生を送っていくように思われた。
     だがクリスマスの夜、マージョリーが急死してしまう。
     落ち込んだエディはピーターを残し巡業、そして第二次大戦に身を委ねていく。
     終戦後、10歳になったピーターのもとへ戻ってくるエディだが…。

     不世出と言われた名ピアニスト、エディ・デューチンの伝記物語。
     音楽家としての華々しい成功だけでなく、愛妻の死、新しい恋人とのほろ苦い恋、そして息子との心の葛藤など、人間として苦悩に満ちた生涯を送った男の感動的な人間ドラマに仕上がっている。
     監督G・シドニーは、見事な職人芸でまとめ上げており恋愛映画の教科書と言っても過言ではない。(allcinemaより)

  • 映画『暗黒女子』 清水富美加 飯豊まりえ Wの魅力!

    映画『暗黒女子』 清水富美加 飯豊まりえ Wの魅力!

    映画『暗黒女子』

    わたし以外、
    幸せになるのは、
    許さない。

    あなたの予測をすべてブチ壊す
    驚愕のラスト24分

    イヤミスの傑作!「全員悪女×ダマし合い」裏切り!エンターテインメント
    2017年4月1日(土)エイプリルフール全国公開!

    イントロダクション

    今、話題の若手女優たちが集結!ということで、事前情報なしに「女の子たち」を観に行こう!

    もうネタバラシとしか言いようのないコピー「驚愕のラスト24分」は確かに意外な展開の連続。

    暗黒女子とは―キラキラと美しい表の顔とは別に、恐るべき裏の顔を持つ<女の子>のこと。
    全員悪女・嘘つき・ダマし合い―全てが逆転する圧巻の<結末>も見もの。
    そして読んでイヤな気持ちになる最悪の結末だが、後味が悪ければ悪いほど“クセ”になってしまう魅惑のミステリー――それが<イヤミス>。

    何の知識もなく見ていくと、予想外の展開に何となく、次はこうなるのでは?と予想ができてくるが、本当にその読みがラストにヒックリ返されて、後味が悪い!
    でも、演じる彼女たちが可憐過ぎて、それもまた面白い。

     

    清水富美加と飯豊まりえの魅力、全開!

    最近、テレビや映画、CMでよく見かけるなぁ~という若手女優の魅力が全開。
    それでも主演の二人、清水富美加と飯豊まりえの二人が圧巻。

    終始、妖しい雰囲気を醸し出す清水富美加は、私が試写で見た直後に驚愕の引退劇!なんかもう、作品と共にビックリ!
    虫も殺せない表情で残酷なことができる、みたいな今回の役どころを見事に演じてるのを見ると、これからの・・・を期待していたけど、この作品で見納めかもしれないので、絶対に見たほうが良い。

    天使と悪魔を演じきる飯豊まりえも魅力的、そして女の顔を見せる表情も少女から女への変化を見事に演じていた、と言うか、本人がまさに真っ只中。

    彼女たちと赤丸急上昇中の若手俳優・千葉雄大の競演。

    彼女たちを楽しむもよし、ラストのどんでん返しに騙されるもいいかも~

    私的『暗黒女子』

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    作品のコピーにあるように、思春期の女の子たちの「自分以外の子が幸せになるは許せない!」のまんま、たった一度しかない青春の1ページを自分の最高にしたい、そんな乙女心を描いている。

    もちろんミステリーだから、そこを上手く逆手にとった作品。
    異性との恋愛よりも、同性の愉しみのほうが大切な訳。

    ② 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    清水富美加と飯豊まりえを楽しみましょう~

    いや、アノ件の前ですからね見たのは、邪念はありません(笑)清水富美加って本当に色っぽく妖しい役をうまく演じるなぁ~って感心。

    でも個人的には、飯豊まりえの前半後半そしてラストの変化が良かった。

    もちろん、他の女優さんたちも、見せ場があって面白い、作品の個性に上手く合っている。

    ③ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    この手のサスペンスは、映画でイッキ見が◎
    ということで、エンディングの驚愕ぶりも含めて、テレビじゃなくて映画で見たい作品。

    ④ エンターテインメント性

    ヒッチコックが何故サスペンスばかりを撮るのか?そして何故美女ばかりをいじめるのか?

    ある意味、サスペンスと美女(美少女たち)はエンターテインメントの基本かもしれない。
    にしても、こんなにカワイイ女性とばかりの学園ってあるのか?千葉雄大(演じる先生)じゃなくとも、それゃぁ~手を出す・・・

    ⑤ 脚本が素晴らしいか?

    原作もの、登場人物が物語を語る、それがそれぞれの視点で物語を進行させて行く、映画『告白』(の原作といった方がよいか)の手法がここでも使われている。
    そう言えば、『お嬢さん』も同じ手法。

    そして、予想外の展開になれたところで、更に予想外の結末に転んで行くところは見ごたえがある。

    ⑥ 何度も見たくなるか?

    最近の日本映画では『イニシエーション・ラブ』のように、2度は見て確認したくなる。
    サスペンスとしてのドキドキ感は味わえるのも、間をおいて見ると面白いかも。

    それと、彼女たちの成長の過程として、またしばらくしたら見たくなるような感じ。

    映画『暗黒女子』のデータ

    上映時間■105分
    製作国■日本
    公開情報■劇場公開(東映/ショウゲート)
    初公開年月■2017.4.1.

    出演■清水富美加/飯豊まりえ/清野菜名/玉城ティナ/小島梨里杏/平祐奈/升毅/千葉雄大
    監督■耶雲哉治
    脚本■岡田麿里
    音楽■山下宏明
    主題歌■Charisma.com「#hashdark」(ワーナーミュージック・ジャパン)
    制作プロダクション■ROBOT 
    原作■秋吉理香子『暗黒女子』(双葉文庫)

    コピーライト■© 2017「暗黒女子」製作委員会 © 秋吉理香子/双葉社

    公式サイトはこちら

    【作品紹介】
    あなたの予測をすべてブチ壊す 驚愕のラスト24分! 学園一の美少女を殺したのは誰?
    イヤミスの傑作!「全員悪女×ダマし合い」裏切り!エンターテインメント

    学園のカリスマ“白石いつみ”の謎の死――「この中の誰かが彼女を殺した。」
    セレブ女子高生たちが通う、聖母マリア女子高等学院。ある日、学院の経営者の娘で、全校生徒の憧れの的だった〈白石いつみ〉が謎の死を遂げる。校舎の屋上から落下したのだが、自殺か他殺か、事故なのかもわからない。やがて、いつみが主宰していた文学サークルの誰かが彼女を殺したという噂が立つ。
    いつみの親友だった澄川小百合がサークルの会長を引き継ぎ、部員が自作の物語を朗読する定例会を開催する。今回のテーマは、「いつみの死」。それぞれを“犯人”と告発する作品が発表されていく。
    物語は5つ、動機と結末も5つ──果たして真実はあるのか?

    イヤミス界の新時代を切りひらく、“裏切り”エンターテインメント!
    読んでイヤな気持ちになる最悪の結末だが、後味が悪ければ悪いほど“クセ”になってしまう魅惑のミステリー――<イヤミス>。今や一大人気ジャンルとなったイヤミス界に新たな旋風を起こし、発売直後から「この結末には完全にヤラレた」と中毒者が続出した、秋吉理香子の小説「暗黒女子」が、ついに映画化。
    物語が進むにつれて、事件の真相だけでなく、登場人物全員の<黒い秘密>も暴かれていく。美しすぎる女子たちの抱えた<まぶしい暗黒>が解き放たれる時、衝撃と陶酔が一つになる密室ミステリー。5つの告発の果て、史上最悪のラストには、あなたも完膚なきまでにダマされる――!

    © 2017「暗黒女子」製作委員会 © 秋吉理香子/双葉社

  • 映画『お嬢さん』 変態なほど卑猥でエロい!パク・チャヌクらしい傑作

    映画『お嬢さん』 変態なほど卑猥でエロい!パク・チャヌクらしい傑作

    映画『お嬢さん』 THE HANDMAIDEN

    幕が上がったら最後、あなたはもう、
    極限の騙し合いから逃げられない――

    絶賛公開中!

    決してカップルで見てはいけない

    こっそりと映画館に行ってください、この作品は決してカップル向きの作品ではありません。

    韓国のパク・チャヌク監督作品、『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』『渇き』『イノセント・ガーデン』の最新作、どの作品もエロとバイオレンスに包まれた作品たち。

    このミステリーがすごい!第1位のサラ・ウォーターズの『荊の城』が原作、今回も原作は読んでませんが、映画では独特の世界観を展開しているという話、確かにここまで、ただただ卑猥な映像になってるのは凄い!

    映画の方は、1938年当時の日本占領下の韓国と後半は日本を舞台にしている。
    主要な俳優陣は全員韓国人、それでも少し変な日本語を駆使して物語が進行していくのは愛嬌ということで。

    バイオレンスとエロさの中に人の本質を描く

    この物語はミステリーであり、サスペンスである、主人公のお嬢さんの莫大な資産を誰が奪うのか?
    サスペンス部分は、3人の視点から徐々に謎が解き明かされて、と言うパターン。

    どうしてパク・チャヌク監督が、官能な世界を物語の中心においたか?というのが面白い。
    逆に書くと、監督の他の作品でも言えることだが、エロいから成り立つ作品でもある。

    私的『お嬢さん』 ※ ここからネタバレもあるかも

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    資産家の令嬢を巡って、物欲と性欲に溺れる男たちの愚かさを描いている。
    男にとって性欲は切っては切れないもの、男が女を操っているつもりで、実は男がもてあそばれる。

    その裏側には、真実の愛とは一体何なんだろう?という監督の投げかけもあるんだろうけど。

    ② 作り手の強い意思を感じるか?

    日本の文化の中にある猥褻さを徹底的に描いている。
    うーん、これって日本の韓国を併合したことへの皮肉も含まれてるのかな?ようは、演じるのは韓国人俳優だが、韓国人が日本人に化けて詐欺をしようというのも。

    パク・チャヌク監督は、徹底してバイオレンスとエロさが人間の本質にあると描いている。
    人間は欺き、嫉妬をして騙し、裏切る、最後に残るのは強いもの、そして美しいものが勝つと。

    ③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    お嬢さま役のキム・ミニと女中役のキム・テリ(オーディションで選ばれた新人!)の(本当の)体当たりの演技が凄い!

    この本気度が、この作品の肝になっている、ハニー・トラップとそして愛はセックスで計るものだと言うのが良く判る。

    そして、キム・ミニがネット上で松たか子に似ていると話題に、私個人的には知り合いの女優さんに似てるんだけど(笑)

    ④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    この卑猥さは映画でしか表現できない、果たしてこれはテレビで放送できるのだろうか?

    そういう意味では、映画でしか描けない、そして人間の本質を描くという点で優れているし、この世界観を味わうとなんとも言えない楽しさがある。

    ⑤ エンターテイメント性

    サスペンスとしても面白い!
    もちろんアダルトビデオではないので、官能シーンばかりという訳ではない(とも言えないかな)。

    片言でも日本語で演じるところがポイントで、日本の卑猥な文化というものが面白い。

    ⑥ 演出が素晴らしいか?

    閉じた空間の使い方が上手い、のぞき穴から見てはいけないものを見せている、そんなシーンが切り取られている。
    しかも美しい映像に、官能シーンがとても工夫がされていて、なるほど~という感じで。

    ⑦ 原作・脚本が素晴らしいか?

    サスペンス部分は原作の通りなんだと思う、ここも見どころ、ただ『ワイルドシングス』とほぼ一緒の展開なんだよなぁ~と終わった後に。

    でもここまでエロティックに描くことで、ラストが本質的にセックスの相性が愛情の大きさに繋がるところがこの映画のキーポイント。

    ⑧何度も見たくなるか?

    この毒々しさがたまらなく癖になる、いつも見たい訳ではないが、時々とても見たくなるタイプの作品。
    そういうところは、パク・チャヌク監督作品に共通するところ。

    人間の本質はバイオレンスとエロにある、という大人のための映画である。

    映画『お嬢さん』のデータ

    上映時間■145分
    製作国■韓国
    公開情報■劇場公開(ファントム・フィルム)
    初公開年月■2017.3.3.

    監督■パク・チャヌク
    原作■サラ・ウォーターズ『荊の城』
    脚本■パク・チャヌク/チョン・ソギョン
    撮影■チョン・ジョンフン
    美術■リュ・ソンヒ
    音楽■チョ・ヨンウク
    出演■キム・ミニ(秀子お嬢様)/キム・テリ(スッキ・珠子)/ハ・ジョンウ(藤原伯爵・詐欺師)/チョ・ジヌン(叔父・上月)

    (C)2016 CJ E&M CORPORATION, MOHO FILM, YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED

    公式サイトはこちら

    映画『お嬢さん』 [パク・チャヌク監督]
    【解説】
     サラ・ウォーターズの傑作ミステリー『荊の城』を「オールド・ボーイ」「イノセント・ガーデン」のパク・チャヌク監督が、舞台をヴィクトリア時代のロンドから日本統治下の朝鮮半島に移して映画化。莫大な遺産を相続する日本人令嬢と、その財産を狙う詐欺師の片棒を担ぎ侍女として令嬢に近づいた孤児の少女が辿る驚愕の運命を、過激な性愛描写を織り交ぜサスペンスフルかつ官能的に描き出す。カンヌ国際映画祭で芸術貢献賞に輝いた華麗な美術も見どころ。出演はハ・ジョンウ、キム・ミニ、チョ・ジヌン、そしてオーディションで選ばれた新人、キム・テリ。
     1939年の朝鮮半島。貧民街で泥棒一家に拾われ、スリの腕を磨いて育った孤児の少女スッキ。ある日、“伯爵”と呼ばれる詐欺師にスカウトされ、彼の計画を手伝うことに。ターゲットは、支配的な叔父・上月のもとで孤独に暮らす華族の令嬢・秀子。彼女は、結婚した暁には莫大な遺産を相続することになっていた。そこで伯爵が秀子を誘惑して結婚し、財産をまるまる奪い取ってしまおうというのだった。スッキの役割は、メイドとして屋敷に入り込み、純真で世間知らずな秀子を巧みに操り、彼女を確実に結婚へと誘導していくというものだったが…。
    <allcinema>

  • 映画『怒り』  レイプとゲイのラブ・シーンだけではない!

    映画『怒り』 レイプとゲイのラブ・シーンだけではない!

    映画『怒り』  怒りのない怒りとは

    怒り

    あなたは殺人犯ですか?

    映画『怒り』 Blu-ray豪華版 [渡辺謙]

    とにかく俳優たちの演技がイイ!

    大人のための大人の映画。
    今年は『シン・ゴジラ』が大人のための童心に帰る映画、『君の名は。』は全ての世代に送る青春映画なら、この作品は大人がじっくりと見れる作品。

    ただとっても暗い作品だから、これだけの俳優陣じゃないと単なる地味な作品になっちゃったかも。
    個人的には、女優陣全員が素晴らしかった!と思う。

    この作品は、完全な謎解き映画では無いんですが、一応、サスペンスなのでネタバレになるかもしれないので、後半は映画を観てから読んで下さいm(__)m

    怒り

    イントロダクション

    『悪人』(’10)の李相日監督×吉田修一原作のコンピが再びタッグを組んだ作品。
    『悪人』で日本アカデミー賞をはじめ、国内の映画賞を総ナメにしてから6年、音楽に坂本龍一を迎え、原作者・吉田修一が「物語の登場人物には、映画『オーシャンズ11』のようなオールスターキャストを配してほしい。」と言う希望にそって、日本を代表する7人の豪華俳優陣が集結!

    この配役も絶妙、もちろんその迫真の演技が素晴らしい。
    「愛した人は、殺人犯なのか?」
    “人を信じる”と言う人間の本質を問いかける感動作、予備知識はこのへんにして是非見て欲しい作品。

    これ以下はネタバレになるかもしれないので、映画を観てからお読みください~

    怒り

    私的『怒り』

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    タイトルの「怒り」は何だったのか?を考える作品。
    犯人の怒りは見事なまでに意味がなく、殺人の動機すら存在しない。
    テーマとしては「人を信じる」ことを問われる、人を信じると裏切られ、人を疑うと亀裂が生まれ、人間は純粋に人を信じることはできないのだろうか?と。
    今の世の中は複雑になり過ぎて、人を簡単に信じることが出来ない世の中なのかもしれない、それに対する大いなる「怒り」がある。

    社会が複雑になり「根拠のない怒り」が人間不信を呼び、改めて人を信じることを思い出すことに、ラストの大きな感動が有った。

    ② 作り手の強い意思を感じるか?

    『悪人』では一つの犯罪を、それぞれの立場の視点から見た場合に、その真実とはどこにあるのか?と言う物語だった。
    今の世の中に 「人を簡単に信じてしまうこと」の怖さ、「人を信じることができなかったこと」の不幸を問いかける、李相日監督と吉田修一原作に込められた強い時代性を感じる。

    ③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    とにかく全ての俳優たちが素晴らしかった。
    特に女優陣、ヒロインの宮崎あおい、広瀬すずが迫真の演技、ここまでするか?!と言う体当たりの演技。
    また出演時間は短いが、高畑充希、池脇千鶴の存在感も良かった。
    それにしても広瀬すず、彼女の天才性は監督によって磨かれる、もちろん他の主演作品での可愛らしい(だけの)役柄も良いけど、『海街Diary』とは別に意味で素晴らしい演技をしていた。
    今回は体当たりで、米兵にレイプされるシーンを演じている、もちろん広瀬すずの表情だけで表現している訳だが、それでも生々しいのは、彼女の処女性の裏返しを上手く利用している。
    そして宮崎あおい、彼女はあるゾーンに入ると物凄い演技をする、今回はで出しからラスト近くの一点を見つめるシーンまで狂気すら感じる演技だった。
    冒頭の風俗嬢の姿で、ノーメイク(用のメイク)でボーッとしているところから、この作品に対する入れ込みようが感じられる。

    最後に妻夫木聡、『悪人』で李相日監督にその才能を開花させられた俳優だが、この作品でも見事なツボを押さえていてゲイ役を見事に演じてみせていた(相手役の綾野剛のカメレオン俳優ぶりも良いけど)。
    妻夫木聡もエリートサラリーマンでゲイらしい嫌らしさを感じさせてくれたし、受けのゲイぶりの綾野剛も良かった。

    怒り

    ④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    百聞は一見にしかず、と言うのは映画には重要な点だと思う。
    最後(近く)まで犯人の顔を映さずに(3人の顔を合成したものだと思うけど)公開写真だけが見せられる。
    映像から想像をふくらませる。

    そして3ヶ所の場所ごとの映像が美しく、俳優たちの演技を映えさせている。

    ⑤ エンターテインメント性

    大人のためのエンターテインメントであり、決して明るい話ではない。
    理不尽な怒りによる慟哭が描かれる。

    一方でそれを見事に演じた俳優たちと背景となる舞台の映像の美しさのコントラストが見事で、これは映画ならではエンターテインメント性と言える。
    久々に好きな絵(映像)の作品でもあった。

    にしても、前半の新宿?のゲイの世界を丹念に見せるところも生々しい、特に白い肌の綾野剛(これも隠れて逃げ回る犯人を予感される)に対して、黒光りしている妻夫木聡の肌がコントラストを醸し出してイヤラシイ、それも楽しいと取るか?個人的には苦手なんだけど。

    ⑥ 演出が素晴らしいか?

    142分と言う長尺な作品でありながら、その長さを感じさせない。
    編集を最初から頭に入れた演出がなされている点、そしてあまりに役にハマった役者を選んでいるが、実は少しずつ今までの演技と外している。

    渡辺謙の抑えた演技、少女的な宮崎あおいにはスッピンでの演技、可愛らしさだけではなく悲しみ演じた広瀬すず、いつもの泣きの演技だけではなく見事なゲイを演じきった妻夫木聡。

    そして3ヶ所を同時進行で話を進める上で、安易に性風俗に走る女性、ゲイの実態描写、米軍基地と米兵による暴行問題などをバランス良く配置している。

    ⑦ 脚本が素晴らしいか?

    3つの同時進行の話を、場面(場所)が変わる時に似たようなアイテムを挿入して違和感なく繋いで見せる、と言った手法も入れている。
    3つの場所で進行する物語の繋ぎが上手く、しかもテンポが良くなっている。
    それがこの尺でも、ダレることなく緊迫感もありつつ見続けることができる。

    ⑧何度も見たくなるか?

    重く辛いテーマの作品、流石に繰り返し見たいか?と言われると。
    でも犯人の「怒り」は何だったのか?それは時代で変わるものかも?また観て確認してみたい。
    そして、なんと言っても演技を見るだけでも価値がある、それは何度でも。

    原作者としての吉田修一は、犯人は3人のうちの誰か?と言うサスペンスを求めていた。
    しかし映画の観客としては、ホクロの話から素性まで、実は3人が同一人物で映画のトリックで別の時間を同時進行として見せられているのかな?とも思わせる。
    いや、逆に一連の怒りと考えると、犯人の怒りの意味もひも解けるのかも?

    映画『怒り』のデータ

    怒り

    監督・脚本■李 相日
    原作■吉田修一(「怒り」中央公論新社刊)
    企画・プロデュース■川村元気
    撮影■笠松則通
    音楽■坂本龍一
    出演■渡辺謙/森山未來/松山ケンイチ/綾野剛/広瀬すず/宮崎あおい/妻夫木聡
    公開情報■2016年9月17日 全国東宝系にてロードショー

    映画『怒り』 [ 渡辺謙 ]

    【作品紹介】
    ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が起こった。
    窓は閉め切られ、蒸し風呂状態の現場には、『怒』の血文字が残されていた。

    犯人は顔を整形し、全国に逃亡を続ける。その行方はいまだ知れず。
    事件から一年後。千葉と東京と沖縄に、素性の知れない3人の男が現れた。

    いったい誰が犯人なのか?
    あなたを信じたい。
    そう願う私に信じたくない結末が突きつけられる―――。
    (C)2016映画「怒り」製作委員会

  • 映画『永遠の0』 ジレンマを背負った大ヒット反戦映画

    映画『永遠の0』 ジレンマを背負った大ヒット反戦映画

    映画『永遠の0』

    eienno-zero

    この空に願う、未来――壮大な愛の物語。

    大人気作家の意図とは別に、感動的な反戦映画

    宮崎駿監督が『風立ちぬ』を公開した後の雑誌のインタビューに
    「今、零戦の映画企画があるらしいけど、それは嘘八百を書いた架空戦記をもとにして、零戦の夢物語をつくろうとしてるんです」
    と答えています、時期的に『永遠の0』の事を指しているのかな?と思ったりもして。
    でも、宮崎駿監督に聞いてみたい、『風立ちぬ』とこの作品の立ち位置は違うのですか?と。
    私には一緒に見えました。
    この作品を見て改めて思ったのは、第二次世界大戦以前の日本人の中には、死と言うのもが身近に有って、常に「死の覚悟」を持って生きていた。
    それが時として人を凛と見せていたのかも、と。
    例えば「坂の上の雲」の秋山真之だったり。
    この作品も『風立ちぬ』も死を身近に感じることで、生の大切さを感じ平和への希望・切望、生き続けることの大切さを描いていると。

    今回、山崎貴監督は徹底的なリアリティを追求してVFXの制作を行っている。
    もちろん零戦に関しても、その運用も開戦時の圧倒的な有利から、一転してアメリカの圧倒的な技術力・工業力の前に次々と落とされていく零戦、特攻すら敵艦船にたどり着けない。

    ラストの岡田准一さん演じる宮部久蔵の爽やかな笑顔が、死を覚悟した潔さ「生」を繋げることの出来た爽やかさに写り、溢れる涙を抑える事が出来なかった。
    堀越二郎も、自ら作った零戦が多くの人々の命を奪った事を後世に語りつなければと「生きねば!」と考えた。
    平和にどんよりと浸った平和ボケの人間が、集団的自衛権、国防軍だと叫んでいる。
    今大切な事は70年前に起きた戦争を正しく後世に子孫に伝えて行くこと「正しい戦争」なんて無いことを。

    作品では、宮部久蔵が何故?特攻を選んだか描かれていません。
    私個人の思いは・・・
    戦争は前線から一番遠いところで決まり、指示・指揮される。
    前線は、その悲劇を一身に背負い、それを見送るしかない。
    宮部は自ら身を特攻に委ねることで、次の時代に残せる「想い」が有ると考えたのではないだろうか・・・・

    2015年2月に同じ原作の7時間版のテレビドラマを見た、テレビ東京の50周年記念作品らしい。
    原作は一部を斜め読みしただけだが、きっとこれが原作に忠実なんだと思う。
    孫の年齢が少し高くなっている、それと現代の姉の恋愛の話が有ったりする、あと宮部久蔵の関係者がこっちの方が多かった。
    映画の方がシンプルにまとめられていて、脚本は上手いなぁ〜と思う。
    おばあちゃんのマツノがヤクザから助けられたのがドラマでは偶然だったことが明確になってるが、映画の方は偶然か必然だったのか?明確にせずに、どちらかと言うと必然と感じさせている。
    一番の違いは、宮部久蔵の弾を避ける操縦法を映画では描いてる点で、これはテレビ版にはない、これは有った方が良かったと思う点。
    結局のところ、特攻がこの時代の人にとってどういうものだったか?と言う一点で、宮部久蔵の物語だが、映画版ではそこに話を集約して描くのに対して、原作・TV版は反戦的な意味合いと共に、戦争へ行った英霊達への賛歌でもある気がする。
    その辺が、この作品に対する賛否なんだろうけど・・・
    特に、特攻から生き残って事業家として成功した老人が、新聞社のチーフ(?姉に仕事を依頼するフィアンセ役)が、特攻とテロの相違について言い合うシーンなんかはそれだと思う。
    映画版では学生達の言い合いでしかなく、どちらに正解が有るかは不明にしている。
    極論を言うとテレビ版・原作では、A級戦犯を否定しておらず、悲しみながらもお国のために死んで行った・・・と言う体をとっている。
    一方で映画版はテロ的な背景・宗教による洗脳=日本軍部による国民の洗脳が有ったとする、一般的な意見を若者に言わせている。
    まぁ~原作ではA級戦犯だけではなく、それを煽った新聞社や世論も有るでは無いか!と言うことなんだろうけど。
    実際に行った人たちがどれだけ辛い思い、家族への想いを残して、お国のために立ったのか・・・と。

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    『永遠の0』の何が問題なのか?

    『永遠の0』の何が問題なのか?冷泉彰彦氏の批評が有ります。

    「重たいジレンマ」を描かず、どちらかと言うと同一視してしまう物語になっている点、その象徴として零戦を描いている点で、冒頭の宮﨑駿監督の言葉の意味を代弁している気がする。
    ただ個人的に、この作品を見て、特攻を肯定したり、英霊賛美に繋がり靖国参拝をしたくなるか?と言うと私はそうは思わなかった、感じなかった。
    むしろ先祖の墓前に頭を垂れる想いしか起きなかった。

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    私的『永遠の0』

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    日本は戦後70年が過ぎた、もう2度と戦前が来て欲しくはない。
    愛する“人”を守るために戦いに行った、死にに行った人がいる、しかしそれはお国のためではなく大事な“人”のために捧げた人生だった。
    しかし戦争は悲劇でしかない、愛する人たちのために殺し合いをしなくてはならないのだから。

    ② 作り手の強い意思を感じるか?

    戦争映画は金だけ掛かって儲からない、ヒットしないと言う日本映画の定説が有るらしい。
    そこをあえてヒットメーカーの山崎貴監督×ベストセラー作家・百田尚樹の組み合わせで挑戦。
    戦闘シーンに関しては、徹底したVFXを駆使して再現、岡田准一の演技を引き出していたのは思いの強さだと思う。

    ③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    この作品の俳優陣は素晴らしかった、岡田准一の正義のための戦争がないことから心が壊れていく姿も印象的。
    景浦を演じた新井浩文・田中泯の二人の存在感が良かったし、これが遺作となった夏八木勲の想いも良かった。

    ④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    戦争映画としてここまで映像化に成功した作品はない。
    『ALWAYS 三丁目の夕日』でも成功したVFXをリアリティのために使った山崎貴監督の執念すら感じる、とてもスケールの大きな作品としても成功している。

    ⑤ エンターテイメント性

    反戦映画でありながら、ドラマで見せる、映像で見せるところは山崎貴監督らしい出来。
    零戦を再現して作ってしまうことと同時に、戦争後半はアメリカの戦闘機に対抗できない旧型で有る点もしっかり描かれていた。

    ⑥ 演出が素晴らしいか?

    山崎貴監督らしい堅実な演出、リアリティを追求するために自然なVFXの使い方は流石。
    岡田准一と井上真央の夫婦、染谷将太が絡んで行くところの恋愛パートと、戦場での男の友情のパートもしっかり描かれていて見応えがあった。
    一方、ラストの回想シーンや現代を零戦が飛ぶシーンは、山崎貴監督らしいやり過ぎのところも。

    ⑦ 脚本が素晴らしいか?

    原作の長編から取捨選択して、英霊賛美から反戦映画になっていたと言う点では良かったと思う。

    ⑧何度も見たくなるか?

    反戦映画でありながら、それが愛する“人”のために、と言う判りやすいテーマで若い人にも見やすい。
    戦争は嫌いだけど、零戦や大和、空母などの兵器が好きと言う男の子の夢を見事に映像化している点でも、何度も見たくなるほどの面白さと完成度を持った作品。

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    映画『永遠の0』のデータ

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    上映時間■144分
    製作国■日本
    公開情報■劇場公開(東宝)
    初公開年月■2013/12/21
    監督■山崎貴
    原作■百田尚樹 「永遠の0」(太田出版刊)
    脚本■山崎貴/林民夫
    主題歌■サザンオールスターズ 『蛍』
    VFX■山崎貴
    出演■岡田准一/三浦春馬/井上真央/濱田岳/新井浩文/染谷将太/三浦貴大/吹石一恵/田中泯/山本學/平幹二朗/橋爪功/夏八木勲

    ■日本アカデミー賞2014年
    作品賞
    主演男優賞 岡田准一
    助演男優賞ノミネート 三浦春馬
    監督賞 山崎貴
    脚本賞ノミネート 山崎貴/林民夫
    他

    オフィシャルサイトはこちらから

    【解説】
     放送作家として活躍する一方、小説でもヒットを連発する百田尚樹のデビュー作にして一大ベストセラーとなった同名小説を「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴監督が映画化した戦争ドラマ。現代の青年が、零戦パイロットだった祖父の戦死の謎を調べようとかつての戦友のもとを訪ね歩く中で、戦争の不条理と向き合っていく姿を描く。出演は零戦パイロットの青年・宮部久蔵に岡田准一、その妻・松乃に井上真央、そして2人の孫で調査を進める青年・佐伯健太郎に三浦春馬。
     司法試験に落ちて進路に迷う青年、佐伯健太郎。ある日、今の祖父とは血のつながりがなく、血縁上の祖父が別にいることを知る。その実の祖父の名は、宮部久蔵。太平洋戦争で零戦パイロットとして戦い、終戦直前に特攻出撃により戦死していた。そこで宮部について調べ始めてみると、かつての戦友はみな口を揃えて宮部を臆病者と非難した。天才的な操縦技術を持ちながら、生きて還ることに執着した腰抜けだと言うのだった。にもかかわらず、なぜ宮部は特攻に志願したのか。やがて、ついに宮部の最期を知る人物に辿り着く健太郎だが…。(映画データベース – allcinema より

  • 映画『イノセント』 ヴィスコンティ最後のエロティシズム

    映画『イノセント』 ヴィスコンティ最後のエロティシズム

    映画『イノセント』 L’INNOCENTE

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    ルキノ・ヴィスコンティの生涯についてはこちらから

    ルキノ・ヴィスコンティ -作品と演出- はこちら

    ヴィスコンティの遺作でありながら、優美の映像が展開する

    ヴィスコンティの他の作品と同様、俳優陣の素晴らしさが光る。
    ヴィスコンティ以外の映画では平凡な役者に終始していても、彼の演出の元では光り輝くようだ。
    ヴィスコンティ最後の作品は、個人のレベルでその苦悩と挫折を描いて魅せた。
    前作の『家族の肖像』よりも『ルードヴィヒ/神々の黄昏』に近いテーマを描いている。
    テーマの深さ、それを掘り下げる一切の破綻のない演出の完璧さは、どの作品を見ても感心させられる。

    この作品では、理想的な男性像(あくまで男性から見てなのかもしれないが・・・)の夫が、不倫を繰り返す。
    それに耐えかねた妻が、自ら不倫の末、妊娠をする。
    他の男性の子供を産むことにより、夫の精神的な崩壊を招く。
    そこには男性の欲望とその悲劇的な結末が描き抜かれている。
    ラストのシーンは原作と違い、夫の自殺のシーンで終わる。
    この作品はこれまでのヴィスコンティの作品以上に、エロチシズムに富み、抽象的な映像が散りばめられている。
    その絢爛豪華さにはヴィスコンティの衰えを知らない創作意欲を感じずにはいられない。
    所詮、男性は女性・特に母親の前には屈服するしかないのか?

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    ヴィスコンティの遺作であり、この作品のダビング中に亡くなった。
    一般的にこの作品が、これまでのヴィスコンティの作品に比べると力が落ちたと言う人も多くいるが、私は逆にこの作品を観てヴィスコンティは最後まで、情熱をもって完璧な作品を作り続けたと感じることが出来た。
    この作品は、これまでのヴィスコンティの作品からは少し趣が違っている。
    これまでの作品は、(特に彼の後半の作品群)同性愛的嗜好が作品の中に横たわっていること、ある時代の崩壊(王侯貴族であったり、財閥であったりする)を描いている。
    耽美的という点ではこの作品も含まれるが...

    改めてこの作品を観て、やはり、映像の美しさに惹かれる。
    これまでの作品以上に鮮やかな彩りを持っている。
    室内装飾や衣装と言った点においても、黒や赤、そして金色と言った色彩と、草木の緑と言った色を鮮やかに使いこなしている。
    このバランスと美しさも、この作品の見所と言えそう。

    そして、この作品はヴィスコンティの作品の中でも、現代的なテーマを取り上げている点で非常に分かり易いストーリーとも言える。
    男女の恋愛、日本で言うところの失楽園的な恋愛をディテイルにしている。
    そこの描かれているのは単純な不倫と言うものではなく、夫婦の内面であり、男女の愛の内面、そこに潜む狂気と男性に取っての人生観までを描いている。

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    またヴィスコンティ作品には珍しくエロティックな表現も有り、その使い方が大胆で効果的であったし美しく艶めかしくもあった。
    この作品を観ると、ヴィスコンティは映画の中で主題そのものを描くと言うことよりも、自分の好きなテーマを表現するのに合った題材の脚本(や原作)から、実はそこに棲息する登場人物達の人間性(欲望であったりその地位であったり)を描くことのみに、その表現を用いているのでは?と考えさせられる。
    この作品では、不倫と嬰児殺しと言う点がテーマになるが、その裏には男性の恋愛に対する考え方と、(二人の)女性の考え方、そして恋愛と結婚というものに対する考え方を描いて見せている。
    愛人(ジェニファー・オニール)の自由奔放な生き方と、妻(ラウラ・アントネッリ)の貞淑な生き様、その中に描かれた女性の魔性...理想の男性像のプレイ・ボーイでありながら、結局、女性を理解することが出来なかった主人公(ジャンカルロ・ジャンニーニ)。
    全てを失った(と言っても女性からの愛だけだが)彼には存在する理由が無かった...

    それは、現代に於いても、日常的な恋愛の裏側に潜む人間関係や人の欲望で有り、自分の周りでも常時起こっている普遍的なものとも言える。
    この作品では非常に俳優の目の動きが印象的だった、特にジャンニーニの鋭い眼光は魅力的だった。

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    映画『イノセント』のデータ

    映画『イノセント』(Blu−ray Disc) /ジャンカルロ・ジャンニーニ,ラウラ・アントネッリ,ジェニファー・オニール,ルキノ・ヴィスコンティ(監督)

    L’innocente 125分 1975年 イタリア

    監督■ルキノ・ヴィスコンティ
    製作■ジョヴァンニ・ベルトルッチ
    原作■ガブリエレ・ダヌンツィオ
    脚本■ルキノ・ヴィスコンティ/エンリコ・メディオーリ/スーゾ・チェッキ・ダミーコ
    撮影■パスカリーノ・デ・サンティス
    音楽■フランコ・マンニーノ/ショパン『ワルツ69・70・64』、『子守歌』/モーツァルト『ピアノ・ソナタK331』/リスト『エステ荘の噴水』/グルック『エウリディケを失って』
    編集■ルッジェーロ・マストロヤンニ
    美術■マリオ・ガルブリア
    衣装■ヴェラ・マルツォ/ピエロ・トージ
    助監督■アルビーノ・コッコ/ジョルジオ・トレーヴェ
    製作会社■リッツォリ・フィルム
    備考■テクニカラー、コスモヴィジョン
    日本公開■1979年
    出演■ジャンカルロ・ジャンニーニ/ラウラ・アントネッリ/ジェニファー・オニール/ディディエ・オードバン/リーナ・モレッリ/マッシモ・ジロッティ/マルク・ポレル/マリー・ジュポワ/カルロス・デ・カルヴァーロ/クロード・マン

    【解説】
     ダヌンツィオの原作を仰ぎ、ヴィスコンティが幼少期に映画的洗礼を授かった、イタリア・サイレント期のロマン主義的傾向の恋愛劇へのオマージュとしての、典雅にして不気味な貴族の愛憎物語。未亡人の愛人(美しすぎて怖いJ・オニール)にうつつを抜かし、盲目的な愛国主義に溺れる、嫉妬深い男(ジャンニーニのキャリアの頂点!)。失われゆく19世紀の栄華、そして新しい世紀への不安は彼を、その不実に悩み苦しみ抜いたL・アントネッリが密通し出来た赤児を殺す–という狂気へ駆り立てる。ラスト近い、その場面の恐ろしさ、純粋さ(開けた窓から雪が舞い込み、その冷気によって窓際に寝かせた幼子を殺そうというのである)……。巨匠入魂の、そして残念ながら最後の、自らの階級への痛切なる挽歌。(映画データベース – allcinema より)

    イタリアの耽美派作家ダヌンツィオの原作を基にしたヴィスコンティの遺作。
    愛人を持つ男が、妻が別の男の子供を産んだことで苦悩する。
    物語は、悲劇的結末に向かって進み、ヴィスコンティならではの優美な映像が展開する。
    ヴィスコンティは当初、アラン・ドロンとロミー・シュナイダーの出演を望んだ。
    当時、ドロンは5本の出演作品を抱え、シュナイダーは妊娠中だったことで実現しなかった。
    ヴィスコンティ自身の別の発言では、アラン・ドロンとシャーロット・ランプリングともなっている。

  • 映画『あん』 「死ぬときぐらい好きにさせてよ」人生の重荷を下ろす映画

    映画『あん』 「死ぬときぐらい好きにさせてよ」人生の重荷を下ろす映画

    映画『あん』

    113分 日本/フランス/ドイツ 2015

    映画『あん』

    やり残したことは、ありませんか?

    2016年正月早々の新聞広告一面に衝撃的な広告が掲載されました

    2012年の第36回日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞に輝いた女優の樹木希林さんが、全身を癌に侵されていると公表し話題になりました。

    その樹木希林さんが「生きるのも日常、死んでいくのも日常」とコメントしています。

    宝島社 企業広告 2016

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    相変わらず元気にご活躍中の樹木希林さん。
    昨年(2015年)公開の『あん』でも素晴らしい演技をされてました。

    一方でジャーナリストの竹田圭吾さんが51歳と言う若さで亡くなりました。

    竹田圭吾
    「Mr.サンデー」でも癌を告白されていて、髪の毛は抜けてないのでカツラと言う話もされていました。
    このところ、明らかに痩せてきていたので...と考えると人はいつ死ぬか、何歳で死ぬか判らないものです。
    それでも、死の間際までテレビに出続けていたのは、ジャーナリストとしての本懐だったのでは、と。
    上記の樹木希林さんのコメントが心に刻まれます。

    はじめて河瀨直美監督の作品で好きになりました

    河瀬直美監督作品『あん』です。
    どら焼きの「あん」のことです。

    街の小さなどら焼き屋さんの雇われ店長(永瀬正敏)のところに、ある日、一人の老女(樹木希林)が求人募集を見て働かせて欲しいと言ってくる。

    『あん』ロケ地

    その高齢のため、一度は断る店長だったが、老女が残していった粒あんが絶品だったので老女を雇うことにする、と・・・
    (写真は、どら焼き屋のセットが有ったロケ地です、ちょっと見に行ってきました)

    河瀬直美監督作品は『殯(もがり)の森』以来、見ているのですが、睡魔との格闘が有ったりと苦手な監督になりつつ有りました、前作の『2つ目の窓』も今ひとつピンとこないところが有って。

    そんな中、今作品、感動的でした!
    樹木希林さんの演技が圧巻でした!!もうこれを観るためだけに映画を観て欲しいくらいです。

    人はそれぞれに人生に重荷を背負うことが有ります、どら焼き屋の店長も重荷を背負ってこの場所でなんとなくどら焼きを焼いています。
    樹木希林さん演じる老女は、更に重たいものを背負っているのに、どこか明るく前向き、時折、陰が見え隠れするのですが・・・その演技が凄い、河瀬直美監督は長回しで俳優の演技を引き出しますが、樹木希林さんの独特の間も生きています。

    作品を見終わった時に、その重荷を一つ降ろした開放感がまた大きな感動を与えてくれました。

    国立療養所多磨全生園

    映画の中盤で樹木希林さん演じる老女はハンセン病患者だと言うことが判る。
    不当な差別を受け、何十年も隔離されて世間から切り離されている。

    そんな彼女がやっと世間との接点を持ち、それに心から喜ぶ姿を、光と影で表現している。
    でも、この作品で涙する人々は、本当に差別を憎んでいるのだろうか?と。
    ハンセン病はつい最近まで差別の対象だった、たまたま私がこの作品の舞台の近くに住んでいることで、ハンセン病の多少なりの知識が有ったから、途中でハンセン病の話が出た時、絶句してしまった。
    (写真は、国立療養所多磨全生園です、近くなのでこちらも行って来ました)

    作品の良さを味わってもらうこと共に、この作品の持つテーマ、差別と言うことも今一度考える機会になればと・・・
    もしかしたら、私だって作中の浅田美代子さん側の人間かもしれないのだから、と。

    私的『あん』

    テーマが有るか?共感できるか?

    主人公の二人、樹木希林さん演じる老女と永瀬正敏さん演じるどら焼き屋の店長が、重い荷物を持って人生を生きています、そう誰もが軽重は有るのかもしれませんが、荷物を背負って生きています。
    それが不当な差別としたら、それでも強く生きることを教えてくれる作品に感動しました。

    作り手の強い意思を感じるか?

    常にテーマ性の高い作品を送り出す河瀬直美監督が、それまでの抽象的な生命の神秘・不思議を描いていたのとは一変して、ストレートに「人生」を描いたことに驚き、感心させられました。

    俳優の意思や演技力が伝わるか?

    感想にも書きましたが、樹木希林さんの演技が凄かった・・・それって演技ですか?と。
    最近、特に演技面の充実が見られる永瀬正敏さんも良かったです、樹木希林さんと見事な対を成していました。

    映画らしい楽しさが備わっているか?

    低予算のしかもこの手のテーマの物語なので、大作のような大画面で楽しむ、と言うだけの作品では有りません。
    でも実際に、この手の差別を取り扱った作品をテレビで放送することが難しいのが現実です。
    だからこそ、映画でやる価値がある作品と言えます。

    あん

    エンターテインメント性

    樹木希林さんの演技を見る、と言うのもエンターテインメントではないでしょうか?
    派手さは有りません、低予算で良い映画を作ると言った見本のような作品です。

    演出が素晴らしいか?

    河瀬直美監督は独特の映像感覚を持っています、毎回、それは楽しみにしています。
    そして長回しが好きな監督さんでも有りますが、今回は、樹木希林さんをはじめとする俳優さんたちの演技が素晴らしいので、非常にマッチしている感じです。

    脚本が素晴らしいか?

    予告で既に「らい」と言う言葉が出ているのですが、私が知らなかったので、流石に物語の展開に驚かされました。
    前半と後半の陰影のある展開が素晴らしかった、河瀬直美監督の作品を今回評価したのは、脚本の素晴らしさに有ったのかもしれません。

    何度も見たくなるか?

    重いテーマの話なので、何度でも見たい!と言うよりも、人生の節目で観たくなる作品だと思っています。

    映画『あん』のデータ

    あん

    監督■河瀬直美
    プロデューサー■福嶋更一郎/澤田正道/大山義人
    原作■ドリアン助川 『あん』(ポプラ社刊)
    脚本■河瀬直美
    撮影■穐山茂樹
    美術■部谷京子
    編集■ティナ・バス
    主題歌■秦基博 『水彩の月』
    照明■太田康裕
    録音■森英司
    助監督■近藤有希
    出演■樹木希林/永瀬正敏/内田伽羅 /市原悦子/水野美紀/太賀/兼松若人/浅田美代子

    映画『あん』 [ 樹木希林 ]

    映画『あん』公式サイト

    【解説】
     ドリアン助川の同名小説を「殯(もがり)の森」「2つ目の窓」の河瀬直美監督が映画化した人生ドラマ。
    小さなどら焼き屋の雇われ店長と、粒あん作りの腕を買われて働くことになった老婦人の心の交流と、次第に明らかとなる老婦人が辿った過酷な人生を優しく見つめる。
    主演は「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」の樹木希林と「隠し剣 鬼の爪」の永瀬正敏。
    また、樹木希林とその実孫・内田伽羅との初共演も話題に。
     町の小さなどら焼き屋“どら春”で雇われ店長をしているワケありの中年男、千太郎。単調な毎日を送る彼の前に、ある日、求人募集の張り紙を見て働かせてほしいと申し出る老女、徳江が現われる。
    彼女の粒あんが絶品だったことから雇ってみたところ、たちまち評判となり、店はみるみる繁盛していくが…。(映画データベース –allcinema より)
     

  • 映画『海街diary』 それぞれの運命を背負って静かに生きていく姿が感動的!

    映画『海街diary』 それぞれの運命を背負って静かに生きていく姿が感動的!

    映画『海街diary』 OUR LITTLE SISTER

    海街Diary-カンヌ

    家族を捨てた父が、のこしてくれた家族

    日常の連続性を丁寧に見せることで家族を描く

    『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞した是枝裕和監督作品『海街diary』です。
    原作は、吉田秋生さんの同名マンガ、未読(その後、ちゃんと読みました)です。
    でも好きな漫画家さんなんです、昔よく読みました。

    海街Diary

    物語は・・・
    鎌倉に住む三姉妹、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)のもとに別居している父の訃報が届く。
    父は15年前に不倫の末、家を出て行ってしまっていた。
    山形の葬儀に参列した三姉妹は、そこで父が二度目の結婚で出来た腹違いの妹・すず(広瀬すず)と出会う。
    「鎌倉で暮らさない」と言う幸の一言から、鎌倉での四姉妹の共同生活が始まるが・・・というもの。

    実は、好き嫌いが分かれるのかな?と、僕は大好き!とても感動した作品。
    でも、この作品、日記なので、日常が淡々と描かれていくんです、大事件は起きない、昔の日本映画を見ているみたい、小津とか溝口ね。

    それまで別々に暮らしていた血の繋がりの有る家族が、一緒に暮らし始めて、微妙な感情のズレとかが有りながら、その少しのズレが、ホンの少しずつ、ピタリと重なりあっていく、そんな瞬間を丁寧に描いている。
    特に日本人は、と思うんですが、本音や想いを時には心の中にしまって言葉にしなかったり、そんな時の映像の間や見せる表情が素敵な映画でした。

    一つ一つのシーンが素敵で、そこで発せられる言葉に重みが有って、原作を読んでいないのに、これはきっと吉田秋生さんの原作のセリフなんだろうなぁ~って感じさせる。
    それでいて、ちゃんと伏線が有って、それがちょっとしたことで、日常の連続性を紡いてくれているところも良かったです。
    とても表現が簡潔で、不要なものは見せない(逆に必要なものは間の中で見せる)、説明をしない(確か回想とかもない)ので、幸の恋愛関係がどういう形かはハッキリと描かれない、シーンの重要性をそうやって高めている。
    一番良いのは「お父さん」が出て来ないことかもしれない。
    そう、昔の日本の映画は余計なことをしゃべらなかった、いつから登場人物が自分の心情をしゃべりまくるドラマばかりになったんだろう。

     是枝監督が原作を気に入って映画化、脚本は是枝監督自ら書いています。
    淡々としていて大上段にテーマを掲げてはいないのですが、『そして父になる』に共通する、そして吉田秋生さんがよく描く「血」のつながりの絆を、色々な親子の形で描いて見せてくれる。
    そんな家族にとって日々の積み重ねだけが、人生を歩んでいくんだと言う事を気づかせてくれる、人生には正解がないから一歩ずつ進むんだと、そう正解は自分で見つけるしかない。

    今回、四姉妹が本当に素晴らしい、奔放な長澤まさみさんもいいなぁ~と思ったら、広瀬すずちゃんの瑞々しさも、そして夏帆ちゃんの「三女だから」と軽く見られながらも、実は色々と考えてるんだよ~的なところも本当に良かった。
    でも見る前、ミスキャストでは?と思った綾瀬はるかさんが本当に良かった!
    キャピキャピした可愛い女性と言う今までのイメージを払拭して、凛とした長女の部分と大人の色気を持った女性像を作り上げていた、一皮むけた感が有った。

    何回も観たくなった・・・で、おそらく映画とは違うであろう、吉田秋生さんの原作も読みたくなった、そんな作品でした。
     鎌倉に行きたくなる映像も素敵です!

    海街diary Blu-rayスペシャル・エディション — Amazonで見る

    脇道。

    吉田秋生-海街Diary

    吉田秋生さんの原作も素敵でした。
    映画のセリフはほとんど原作のままでした。
    ある意味、原作マンガのダイジェスト的な作りになっているのですが、そこがそうなっていない絶妙な味付けの脚本も素晴らしかった。
    原作はやはり、吉田秋生さんらしい「血縁」と言うところが強調されていた。
    原作もオススメです!

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    私的『海街diary』

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    人間のつながりとは何か?人は人と繋がっている、と実感させてくれます。
    そして日々の生活を大切にすることを気づかせてくれます。

    ② 作り手の強い意思を感じるか?

    原作の吉田秋生さんが作品を見て「なんかちょっぴり、くやしかった(笑)」とコメントしています。
    長編マンガの原作を、エッセンスだけ抜き出してみせたところは、是枝監督の思い入れを感じました。

    ③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    キャスティングを見た時に「あれ?」と思ったのですが、全員が素晴らしい演技だった。
    原作のキャラクターにもはまっていました。

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    ④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    鎌倉の街が素敵に描かれています、もう一度、同じ場所を訪れてみたくなるくらい。

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    ⑤ エンターテイメント性

    静かな映画です、でも飽きることはなかった。
    人生ってドラマだから・・・そのドラマをちゃんとエンターテインメントとして描いていました。

    ⑥ 演出が素晴らしいか?

    是枝監督の小さな子供が出てくる映画は実は苦手です(汗)
    どの作品でも、子役も俳優さんも生き生きとしています、この作品では子役は出てきませんが、登場人物が生き生きとしています。
    だから、間が生きてくるんだと感じました。

    ⑦ 脚本が素晴らしいか?

    原作も素晴らしい作品です、でもダイジェスト的に話を網羅してるのですが、ちゃんと伏線が張られていて、ちゃんとその伏線を回収しているので、後でジーンと来るシーンが多い、素晴らしい脚本だと思います。

    ⑧何度も見たくなるか?

    人生の素晴らしさを、しみじみと感じさせてくれる作品です、そう言う意味で人生の節目で何度でも観たくなる作品に感じしまた。

    映画『海街diary』のデータ

    海街Diary

    2015年 128分 日本

    監督■是枝裕和
    製作■石原隆/都築伸一郎/市川南/依田巽
    プロデューサー■松崎薫/田口聖
    アソシエイトプロデューサー■西原恵
    ラインプロデューサー■熊谷喜一
    原作■吉田秋生『海街diary』(小学館『月刊フラワーズ』連載)
    脚本■是枝裕和
    撮影■瀧本幹也
    美術■三ツ松けいこ
    キャスティング■田端利江
    スクリプター■矢野千鳥
    衣裳デザイン■伊藤佐智子
    照明■藤井稔恭
    装飾■松尾文子
    録音■弦巻裕
    ヘアメイクデザイン■勇見勝彦
    助監督:兼重淳遠藤薫
    出演■綾瀬はるか/長澤まさみ/夏帆香田/広瀬すず/加瀬亮/鈴木亮平/キムラ緑子/中村優子/樹木希林/リリー・フランキー/風吹ジュン/堤真一/大竹しのぶ

    映画『海街diary』公式サイト

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    【解説】
     人気少女漫画家・吉田秋生の同名傑作コミックスを「歩いても 歩いても」「そして父になる」の是枝裕和監督が映画化。
    鎌倉の古い一軒家に暮らす3姉妹が、腹違いの妹を迎え入れ、それぞれに複雑な想いを抱えながらも日々の暮らしを通して家族としての絆を紡いでいく1年の物語を、鎌倉の四季折々の美しい風景とともに綴る。
    主役の四姉妹には綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず。共演に加瀬亮、鈴木亮平、樹木希林、リリー・フランキー、風吹ジュン、堤真一、大竹しのぶ。
     鎌倉の古い家に暮らす幸、佳乃、千佳の香田三姉妹。
    父は不倫の末に15年前に家を出て行き、その後、母も再婚してしまい、今この家に住むのは3人だけ。
    ある日、その父の訃報が3人のもとに届く。
    父の不倫相手も既に他界しており、今は3人目の結婚相手と山形で暮らしていた。
    葬儀に参加した三姉妹は、そこで腹違いの妹すずと出会う。
    父が亡くなった今、中学生のすずにとってこの山形で身寄りと呼べるのは血のつながりのない義母だけ。
    気丈に振る舞うすずだったが、肩身の狭い思いをしているのははた目にも明らか。
    すずの今後を心配した幸は、別れ際に“鎌倉で一緒に暮らさない?”と提案する。
    こうして鎌倉へとやって来たすずだったが、最初は自分の母が幸たちの父を奪ったことへの負い目を拭えずにいた。
    それでも、異母姉たちと毎日の食卓を囲み、日常を重ねていく中で、少しずつ凝り固まった心が解きほぐされていく。
    また、入部した地元のサッカーチームでも仲間に恵まれ、中学生らしい元気さも取り戻していくすずだったが…。(映画データベース –allcinema より)

  • 映画『インビクタス/負けざる者たち』 ラグビーの臨場感が凄い!

    映画『インビクタス/負けざる者たち』 ラグビーの臨場感が凄い!

    インビクタス/負けざる者たち

    INVICTUS 134分 2009年 アメリカ

    インビクタス/負けざる者たち

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    ひとつの願いが、 ほんとうに世界を変えた物語。

    南アフリカがラグビーでワールド開催をした意味とは

    今年(2015年)は、ラクビーワールドカップで日本中が湧いた年でした。

    日本が大金星を挙げた相手が南アフリカでした。
    南アフリカはラグビーの強豪国でしたが、アパルトヘイトのために当初はワールドカップに参加が出来ませんでした。
    1994年にアパルトヘイトがネルソン・マンデラによって廃止されて、初めてワールドカップに参加、それも自国開催に踏み切った・・・この作品はそんな背景の話です。

    この作品は本当に本当に立派な映画です。
    クリント・イーストウッド監督は『グラン・トリノ』で俳優の生涯を終えて(引退→その後出演してますが)、監督一本にと言っても、もう既にアカデミー賞も数々の賞も授賞して、今は本当に撮りたい作品だけを撮れる偉大な監督の一人だと思う。
    何故、アメリカ人の彼がこの作品を撮りたかったのか?本当にそこが知りたいところ。
    アカデミー賞にもノミネートされず、アメリカでは興行的に成功では無かった作品。
    理由は簡単で、ストーリー自体がアメリカ人には理解出来ないから・・・ 顕著なのは『硫黄島からの手紙』だった。
    アメリカでは興行は散々、評価も殆どされなかったが、個人的にはイーストウッド監督の最高傑作だと思っている。

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    さてこちらに話を戻すと、アメフトの国アメリカ、でラグビーの話しなんて誰も理解出来ないと思う。
    アメリカでは、3大スポーツ(アメフト、バスケ、野球)の下にアイスホッケーやオリンピック?その下にサッカー、更に下の下位にラグビーが有ると言っても良いかも。
    日本でもラグビーの位置付けは、アメリカ程低くは無いと思うが(実際は知らない)、ある程度ラグビーを知っている、少なくともラグビーのワールドカップを見たことが無いと判らない部分が多いと思う。
    私はと言うと、それ程ラグビーに造詣が深い訳では無いが、高校の授業でラグビーをやらされたせいか、ワールドカップは毎回見ている。
    もちろん今回の舞台になった’95年の大会も決勝戦はTV観戦している。
    そう言う視点で見ると、もうホント、映画としてイーストウッド監督が立派に撮っていると言う点、政治とスポーツの関係(その中にある理念や信念)も立派なのだが、それ以上にスポーツ映画なのだ!!
    ここは強調したいが、立派なラグビー映画に仕上がっている。
    ある意味、『炎のランナー』はオリンピックの100m走を知らない(そんな人はいないと思うが)と理解出来ないし、サッカーを知らないと『ベルンの奇蹟』や『GOAL!』を見ても感動出来ないかもしれない。
    日本人には、アメリカのアメフト映画が理解出来ないのと同様だ。

    もう臨場感溢れる立派なラグビー映画、もちろんニュージーランド・オール・ブラックスのハカも出てくる。
    そんな立派なスポーツ映画、ラグビー映画だからこそ、スポーツ・ラグビーの素晴らしさが伝わり、それこそが人々の心を一つにする共通の言語だと伝えてくれる。
    映画と言う共通言語、スポーツと言う共通言語、そのことが国民を一つにして、差別の壁を取り去っていく。。。不可能を可能に!(インビクタスとはラテン語で「不屈」を意味します)

    そしてまた立ち戻るが・・・アメリカ人のイーストウッド監督が何故、ラグビー映画を撮ったのか?しかもこんなに立派に。
    エンディングには、ホルストの「惑星」第4曲「Jupiter」が流れるが、日本では平原綾香が歌った曲が有名だが、これはラグビーのワールドカップのテーマ・ソング「ワールド・イン・ユニオン」(1991~)として歌われている。

    Rugby World Cup Official Song “World in Union” from 95’s Ver
    There’s a dream I feel, so rare, so real: All the world in union, the world as one gathering together, one mind, one heart, Every creed, every colour, once joined never apart. Searching for the best in me, I will find what I can be, If I win, lose or draw, there’s a winner in us all, It’s the world in union, the world as one, as we climb to reach our destiny, Our New Age has begun! We face high mountains, must cross rough seas, We must take our place in history, and live with dignity, Just to be the best I can Sets the goal for every man, If I win, lose or draw, it’s a victory for all, It’s the world in union, the world as one, as we climb to reach our destiny, Our New Age has begun. Build the world in the union, Our New Age has begun!!

    (私には、夢がある―― とっても貴重で、とっても誠実な夢 全ての世界は繋がっている、そう、世界は1つ 全人類が共に集まり、一つの精神、一つの心を共有する―― 全ての主義、全ての肌の色―― 一度一緒になれば、それは二度と離れ離れになることはない 自分の中の“ベスト”を捜して、自分が出来る事はきっと見つかる 例え勝っても、負けても、引き分けでも、全てが“勝利”なのだから! 世界は一つの共同体(=ラグビーの事)、一つになった世界 自信の運命に手を伸ばし、登りつめて行く時―― 私たちの新しい時代が始まる!)

    もう、独りで劇場で涙しながら観ちゃいました(汗)

    マンデラ大統領とピナール

    私的『インビクタス/負けざる者たち』

    ① テーマが有るか?共感できるか?

    映画が世界で見られる訳、そしてラグビーと言ったスポーツが愛される訳、言葉が通じなくても感動は通じる共通言語。ラグビーと言う共通言語のスポーツを通して人種差別のない世界を望む強い意思を感じることができる。

    ② 作り手の強い意思を感じるか?

    原作映画でもあり、イーストウッド監督は共感を持って作ったのが感じられる。
    そして、本当に臨場感があるラクビーの試合シーンを再現している。
    黒人のマンデラ大統領と白人のキャプテン・ピナールの友情も、人種の融和を表現していて見事。

    ③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

    モーガン・フリーマンのネルソン・マンデラは見事!
    似ているかどうかはともかく、偉大な人物に共通のもの、意志が強くそして柔和な外見、そんな人柄を表現している。
    マット・デイモンは、体重を大幅に増やしてラグビー選手体型になって臨んだ作品だけに気合十分、モーガン・フリーマンとのバランスも良かった。

    ④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

    ラクビーの決勝戦がクライマックスに来るこの作品、大迫力。
    スタジアムにいる臨場感が感じられる!

    ⑤ エンターテイメント性

    立派な映画で政治的な映画でもある、しかしスポーツ映画で有り、感動的でしかも爽快感も味わうことができる作品。

    ⑥ 演出が素晴らしいか?

    イーストウッド監督は、どんなテーマの作品を撮っても、一級の作品に仕上げてくる。
    特に今回は、ラグビーと言うスポーツであり、ここまで臨場感のある試合シーンを演出仕上げている点は驚き。
    もちろん作品全般としても、流石の演出で友情という人間性も表現していた。

    ⑦ 脚本が素晴らしいか?

    原作のある作品である以上、半分は原作の面白さとも言えるが、政治的な繊細な部分を友情で乗り越えていくリンクぶりが脚本の上手いところか。

    ⑧何度も見たくなるか?

    人に勇気を与えてくれる、そして何事も乗り越えられると言うことを教えてくれる。
    それでいてエンターテインメントとしても十分に楽しめると言う点で優れている。

    映画『インビクタス/負けざる者たち』のデータ

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    監督■クリント・イーストウッド
    製作■ロリー・マクレアリー/ロバート・ロレンツ/メイス・ニューフェルド/クリント・イーストウッド
    製作総指揮■モーガン・フリーマン/ティム・ムーア
    原作■ジョン・カーリン
    脚本■アンソニー・ペッカム
    撮影■トム・スターン
    衣装デザイン■デボラ・ホッパー
    編集■ジョエル・コックス/ゲイリー・D・ローチ
    音楽■カイル・イーストウッド/マイケル・スティーヴンス
    出演■モーガン・フリーマン/マット・デイモン/トニー・キゴロギ/パトリック・モフォケン/マット・スターン/ジュリアン・ルイス・ジョーンズ/アッジョア・アンドー/マルグリット・ウィートリー/レレティ・クマロ/パトリック・リスター/ペニー・ダウニー

     「チェンジリング」、「グラン・トリノ」の巨匠クリント・イーストウッド監督が、アパルトヘイト(人種隔離政策)後の南アフリカで開催されたラグビーワールドカップを巡る感動の実話を映画化したヒューマン・ドラマ。
    アパルトヘイト撤廃後も人種間対立が残る中、国民が一つにまとまる大きな転機となった自国開催のラグビーW杯での奇跡の初優勝までの道のりを、ネルソン・マンデラ大統領と代表チーム・キャプテンを務めたフランソワ・ピナール選手との間に芽生える絆を軸に描き出す。
    主演はモーガン・フリーマンとマット・デイモン。
     1990年、アパルトヘイトに反対し27年間も投獄されていたネルソン・マンデラがついに釈放される。
    そして1994年、初めて全国民が参加した総選挙が実施され、ネルソン・マンデラは南アフリカ初の黒人大統領に就任する。
    しかしアパルトヘイト撤廃後も、白人と黒人の人種対立と経済格差は依然として解消されず、国家はいまだ分断状態にあった。
    マンデラ大統領にとって国民の統合こそが悲願であり、自ら寛容の精神で範を示し、国民に和解と融和を呼びかける。
    そして、翌’95年に南アフリカで初開催されるラグビーW杯を国民融和の絶好のチャンスと捉える。
    彼は、長らく国際試合から閉め出され弱小化していた代表チームのキャプテン、フランソワを官邸に招き、国を一つにまとめるためにW杯での優勝が欠かせないと訴えかける。
    戸惑いつつも、大統領の不屈の信念に心打たれたフランソワは、やがて誰もが不可能と考えた優勝目指してチームを引っ張っていくのだが…。(映画データベース – allcinema より)